朝7時にはホテルを出て、まだ暗闇の無人駅へ。 今までずーっと行きたくても遠くて行く機会のなかったかのバーナード・リーチと濱田庄司の築いた登り窯のあるLeach Pottryへ一日旅行。
リーチ窯のあるSt. Ivesはイギリスの端っこ。 エクセターからでも電車で3時間半の道のり。
ほとんど寝る時間が無かったので、電車でゆっくり寝て行こうとは思っていたものの、海岸沿いを走る車窓の景色が美しくて、結局ずーっと外を眺めながら到着。
随分と田舎な風景の中を走って行くのですが、St.Ivesへ向かう最後の乗り換えの駅へ行くと結構な人込み。 月曜日にそんな端っこの街になんでこんなに人が?? と疑問に思って現地に降り立つと納得。 なんとも美しい海岸沿いの町が広がっていました。
ヴィクトリア朝期には温暖な気候を求めて海水浴客の訪れるリゾート地だったそうで、その後芸術家村として色々なアーティストが住み始めて、セント・アイヴス派と呼ばれたそうです。
せっかく港街へやって来たので、ランチはシーフードで。
フィッシュ・チャウダーとローカルの魚の生ハム巻き。 どちらもため息が出るほど美味しくて、休日を満喫!!
街から坂を登ること15分程のところにあるのが。。
やっと来ました!リーチ・ポッテリー。
こちらの入り口を入ると
バーナード・リーチをはじめ、三代の作品を中心に展示されています。
あまり塑像を作ることはなかったそうで、こういった作品は珍しいんだとか。
工房の方へ向かうと、粘土を置いておく場所。
工房は今でも使われているので、彼が作陶していた様子が目に見えるようです。
バーナード・リーチは濱田庄司、柳宗悦、河井寛次郎などと共に日本の民芸運動にも深くかかわった人で、濱田庄司とイギリスのこの場所に登り窯を作りました。
この民芸運動には岡山の大原孫三郎も大きく関与するので、岡山県民としてはちょっと嬉しい活動。
民芸運動は、日用雑器であったり工芸品の中に美を再確認して世の中に広く紹介することを主としていましたが、リーチも西洋文化の中では評価の低い陶芸の美しさを再確認して広めようとしましたが、磁器や絵付けの美しさの方が評価が高く、その道のりは険しかったようです。
日本では茶道など陶器の中に美しさを発見する文化があるので、まだ民藝活動は浸透しやすかったのかも。
日本の植木ばさみは何に使っていたんだろう?
この暖炉が工房の中心で、当時そのままの様子なのが分かります。
ここだったら自分でも毎日籠って作陶したくなるね。。
以前行った濱田庄司の濱田窯もそうでしたが、彼らのコレクションが未だにそのまま使われていて、なんだか共通点を感じます。
こちらが登り窯。
日本では今話題のスカーレット?
陶器に描く模様などのインスピレーションの展示では、濱田庄司が日本の着物の柄などから着想すると話している様子を紹介するモニターも。
そんなに広い工房ではありませんが、バーナード・リーチの思いが沢山詰まった場所であることは感じられました。
ショップにはここで制作された作品をはじめ、イギリスを中心に活動をしていたり、関わりの深い作家さんの作品も販売されています。
こちらは数か月備前で作家活動をしていて、今はデンマークで作陶をしている作家さん。 上段は備前で制作した作品で、下にはデンマークの登り窯で試作したものが並んでいました。
いくつか購入したものを紹介。
これは濱田窯のマグカップとそっくりのMatther Fosterさんの作品。
こっちが濱田窯で購入したもので、釉薬の色までそっくり。
Annabelle Smithさん作の湯飲み。
彼女の作品はどれもかなり日本寄り。 ここで成形までして、焼きはデンマークの登り窯で行っているんだとか。(現在ここは電気釜しか稼働していないので。)
こちらはJohn Jelfさんの作品。
こちらでは名の知られた方だそうで、釉薬の使い方が素敵。 ヴィクトリア・アルバート博物館などでも展示会をしているんだとか。
どれも思うのですが、純日本風な作風でありながら窯印がアルファベットなのがちょっとクール??
現在使っている窯はこちらだそうです。
工房のすぐ横には小川も流れていてなんだか素敵。
再びSt. Ivesに戻って来て、電車が出るまで散策。
街の中にはギャラリーなども多く、色々な作品を見る事も出来ます。
夜には用事があったので日帰りをしましたが、一泊してのんびりした時間を過ごすにもいいだろうなぁと思いました。
長年の願いの叶ったよい休日になりました。