Friday, February 7, 2014

the walters art museum

前回来た時はホテルの近所の治安の悪いマーケットまでこの"Crab Cake"(カニの身の寄せ集め)を食べに行ったのですが(結構いいお値段するので・・・)、今回は友達と食事と言うことで、初めてレストランで食べて来ました。 このプレートでも、食べてみるとかなりの量で、結局半分持ち帰って次の日のランチになりました。
カニの身は美味しいのですが、味付けも濃いので、自分的には普通にゆでた足の方が好きかな。。はは。
ボルチモアはカニで有名なのですが、なかなか楽しい夜でした。
前回のボルチモアのブログでも登場したここ"The Walters Art Museum"。 自分自身ここの展示内容についてはほとんど覚えていなかったのですが、今回ホテルから歩いて10分で、しかも入場料無料と言うことで、2度も来てしまいました。
1800年代に鉄道事業で財をなしたボルチモア出身のウォルター家のコレクションですが、これがなかなか素晴らしい内容で、1931年にヘンリー・ウォルターズが亡くなった際に、ボルチモア市に遺贈されました。 この様な内容の美術館が無料と言うのは素晴らしいですね。
では、いつもの通りランダムに自分の目に留まったものをいくつか紹介。
見ての通りの、日本からヨーロッパへ輸出された、説明には肥前と書いてありましたが、地肌の柔らかい味と美しいデザイン。 昔の鮮やかなヨーロッパ陶磁器に慣れていた人達の目には、随分と新鮮に映ったことでしょう。
西洋の名品に負けない美しさですね。
18世紀フランスの象牙の装飾。 細密なレースの様な細工ですが、機械も無い時代にすごい技術を持った人たちがいたんですね。
1900年代初めにフランスの有名なグラスメーカー、ラリックによるオーキッド。 花の部分は象牙細工ですが、忠実な写実に香りが漂ってきそうです。
作品はジャンルごとに分けられていたり、寄贈者ごとに分かれていたりするのですが、ふと見上げるとヴァンダイクの聖母子。 自分はルーベンスだと思って見上げたのですが、さすが師弟関係、画風が似てますね。
正面入り口から見て階段奥にあるのがこのフィレンツェのテラコッタ。
これは1515年にメディチ家から輩出したローマ教皇レオ10世が、フィレンツェに凱旋帰国をする際に飾られたものだそうです。 ご存知焼きもの好きの自分は、このフィレンツェの焼き物も大好き。 大体もっと小さな聖母子像で、周囲がレモンやその他で装飾されたものが多いのですが、このように大きなものはほとんど見ることはないです。
この釉薬の色が最高で、とっても柔らかみを帯びた色合い。 肌の白もほんのり青みがかっていて、その造形もさることながら、やはりセビリアやリスボンのタイルと同じく、この時代特有の色合いと手作り感が最高です。
これだけ大きな作品を、部分に分けて焼き上げて組み合わせるのは大変だったようですね。
真ん中にはメディチ家の薬の紋章。
Filippo Lippi / Madonna and Child 1446 - 47
ブログにも時々登場してくるフィリッポ・リッピ。 沢山同じような宗教画の並ぶギャラリーでも、彼とボッティッチェリの絵には目が吸い寄せられます。
Sandro Botticelli / Madonna and Child with the Young Saint John the Baptist late1490s
そのボッティチェリとその工房の作品。
Rafaello Sanzio / The Madonna of the Candelabra 1513
これはラファエロの作品なのですが、この作品がアメリカ大陸に渡って来た初めてのラファエロの聖母らしい。
この一見現代風な作品は16世紀の宮廷画家ブロンズィーノによる、メディチ家コジモ1世(ミケランジェロの葬儀も行った人)の息子の絵。 写真のない時代に、この様に絵を描かせるのは当然のことですが、富も権力も手に入れたメディチ家に生まれた赤ちゃんって感じですよね。
Guido Reni / The Penitent Magdalene 1635
レーニはヴァチカン宮殿の装飾もしていますが、カラヴァッジョの様な劇的な明暗や構図とラファエロの様な古典的な表現が混ざっているそうで、この絵からも伝わってきます。
The "RUBENS VASE" / Early Byzantine 4th Century
もともとは4世紀、ビザンチン時代のメノウの花瓶。 ビザンチンの皇帝の為に制作されたものの様ですが、1204年に十字軍がコンスタンチノープルからフランスに持ち帰ったらしく、その後西ヨーロッパの王の元を転々とし、1619年にはフランドルの巨匠ルーベンスが購入します。
これはそのルーベンスの描いたこの花瓶。 そんな花瓶が流れ流れて今はボルチモアで自分の目の前にちんと座っている。 不思議ですね。
この目を惹く祭壇は、15世紀末に北フランス、ノルマンディーの教会の為にブリュッセルで制作されたもの。 左からキリストの逮捕から中央が磔刑、右端で復活するまでの様子が表情豊かな木彫で表現されています。
人物一人ひとりの動きと表情が本当に豊かで、悲壮感はあまりなく、ついつい童話の一場面でも見るように見てしまいます。


これは1900年のパリ万博に出展されたティファニーのブローチ。
大粒のサファイアが煌びやか。
Jean - Francois Millet / The Sheepfold, Moonlight 1856-60
絵画もあらゆるジャンルがあるのですが、これは“落ち穂拾い”で有名なミレーの作品。 本人の言葉によると、”壮麗さと夜の恐れ”、この作品を見ている人達に歌、静寂、空気のざわめきを伝えたい。 と語っているのですが、それは150年の時を経ても薄れることは無いようです。

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