Wednesday, March 2, 2022

washington dc


さて、久し振りの首都ワシントンへ。
いつもここワシントンやボルチモアにいる頃には大雪が降って大変なのですが、今年は豪雪の日本とは違ってこちらの天候は至って穏やか。


散歩ついでにホワイトハウスの周辺を歩いていましたが、以前は普通に歩けていたエリアまでセキュリティが強固になっていて立ち入り禁止。 昔はホワイトハウス内の見学も出来ていたなんて信じられません。 一度入っていてよかった!




泣く子も黙るFBI本部。 ちなみにFBIとは連邦捜査局のことで、州に関わりなく捜査の出来る機関で、CIAとは中央情報局のことで、主に国際的な情報収集などをする機関。

ワシントンは美術館や博物館は基本的にすべて無料なのですが、週の初めには休館のところが多く、見学したいなら休館日のチェックが必要。
が、ここナショナル・ギャラリーは休みなく開館しています。 ということでこの日はここ。




有名な作品がわんさかと並んでいる大規模な美術館ですが、空間も広くのんびり散策しながら見学ができます。 今はアメリカ全土に言えることですが、観光客もほとんどいなくて、平日だと昼間でもこんな感じ。


Auguste Rodin 1897 "The Age of Bronze"


Gaetano Monti 1824 "Head of a Bull"




"Marie-Antoinette" after 1783 ということで存命中の肖像画。





Paul Cezanne 1880 "The Battle of Love"


Edouard Manet 1866 "Still Life with Melon and Peaches"
大好きなマネの静物画。 なかなか大きなサイズの絵で、やはり好きな画風。 色合いも素敵。


Edouard Manet 1866 "A King Charles Spaniel"


Auguste Renoir 1875 "Woman with a Cat"
ルノアールの毛の逆立った感じのつり目の猫が愛らしい。^^




Francisco de Goya 1806/1811 "Senora Sabasa Garcia"
スペインを代表する画家ゴヤの美しい絵。


Francisco de Goya 1786 "The Marquesa de Pontejos"
ゴヤのパトロンだったマリア・アナ・デ・ポンテホス。 当時の流行だったマリー・アントワネットの服装をしたのだとか。


彼女の愛犬パグ。


Francisco de Goya 1810 "Victor Guye"




以前のブログにも載せた記憶がありますが、結構な迫力で一室に飾ってある
John Singleton Copley 1778 "Watson and the Shark"
このアメリカ人画家ジョン・コープリーがロンドンへ行き友人になったのがブルック・ワトソンで、そのブルックが14歳の時(1749年)にハバナでサメに襲われて片足を失った時の絵を描くように依頼て出来たのがこの絵。



Claude Monet 1873 "Woman with a Parasol - Madame Monet and Her Son"

Paul Cezanne 1882 "Louis Guillaume" セザンヌの友人の息子で、自分の息子の友達でもあった子のポートレート。



Paul Gauguin 1890 "Eve"
ゴーギャンの焼き物のイヴ。 立体になってもやはりゴーギャン。





Vincent Van Gogh 1888 "La Mousme"
題名を読んでも不思議な通り”ラ・ムスメ”。 当時ゴッホの読んだ本に登場する日本の”むすめ”を描くため、アルルの少女を通して日本をイメージして描いたもの。


Paul Gauguin 1889 "Self - Portrait




Auguste Renoir 1870 "Odalisque"


Claude Monet 1880 "Jerusalem Artichoke Flowers"


Auguste Renoir 1872 "Pont Neuf"
今と風景があまり変わらないパリの中心ポンヌフ。


Edouard Manet 1862 "The Old Musician"
かなり大きなサイズのマネの作品。 ここに来る目的の1つです。



Edouard Manet 1873 "The Railway"



 

Edouard Manet 1864 "The Dead Toreador"


Edouard Manet 1866 "The Tragic Actor"
ハムレットの俳優。








1492 "Saint Sabastiano"


Fra Angelico 1438/1440 "The Healing of Palladia by Saint Cosmo and Saint Damian"


Fra Angelico and Fra Filippo Lippi 1440/1460 "The Adoration of the Magi"
フラ・アンジェリコとフィリッポ・リッピの名前が並んでいるだけでも”???”な作品ですが、もともとはフィレンツェのフラ・アンジェリのコメディチ・リッカルディ宮殿にあった作品ということなのですが、フィリッポ・リッピが大半を描いていたという説が強いようで、長い間に渡って様々な画家が手を加えてきたのは確かだそうです。



Filippo Lippi and Pesellino 1470 "Madonna and Child"


Leonardo da Vinci 1474/1478 "Ginevra de' Benci"
ルーブルがモナリザなら、ここは”ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像”




フィレンツェの貴族ジネーヴラ・デ・ベンチを描いた作品で、1967年当時、絵画の最高額でリヒテンシュタイン公家から購入したもの。 南北アメリカ大陸で公開されている唯一のダ・ヴィンチの作品だそうです。



裏にはラテン語で”美は徳を飾る”と書かれています。



Filippino Lippi 1485 "Portrait of a Youth"
フィリッポ・リッピの息子、フィリッピーノ・リッピの作品。 父の弟子だったボッティチェリに師事して、父の血を受け継いで美しい絵を描いていて、ロレンツィオ・メディチに贔屓にしてもらったんだとか。


Sandro Botticelli 1482/1485 "Portrait of a Youth"


"Lorenzo de' Medici" 1478/1521


"Giuliano de' Medici" 1475/1478


有名なコモジ・デ・メディチの息子兄弟のロレンツォとジュリアーノ。
これまた大変有名な”パッツィ家の陰謀”で、フィレンツェの象徴ドゥオーモでのミサの席上で兄弟は襲われ、弟のジュリアーのは命を落とし、兄ロレンツォも傷を負いました。 メディチ家のパッツィ家への復讐は容赦がなかったそうで、100人近くが捕らえられて処刑されたそうです。
また、コンスタンチノープルに逃れていたバロンツェッリが処刑される様子はダ・ヴィンチが描いていますが、これは以前のルーブル美術館でのダ・ヴィンチ展の際に展示してありました。
そんな二人の胸像です。


Filippino Lippi 1475/1480 "Tobias and the Angel"


Sandro Botticelli 1478/1482 "The Adoration of the Magi"



Raphael 1515 "Bindo Altoviti" 
フィレンツェ出身の裕福な銀行家だったビンド・アルトヴィーティの肖像画で、当時ラファエロが随分とダ・ヴィンチを勉強して影響を受けて描いている作品で、1808年にドイツンのルートヴィッヒ1世に売却されるまではアルトヴィーティ家の子孫に受け継がれていたそうで、その後にナチス・ドイツから持ち出され、今はここへ落ち着いているそうです。


Raphael 1508 "The Niccolini - Cowper Madonna"


Raphael 1505 "Small Cowper Madonna"


Raphael 1510 "The Alba Madonna"
もともとはイタリアの教会へ献上するためにラファエロが依頼されて描いた作品で、18世紀中ごろにはスペインの貴族アルバ家が所蔵していた為”アルバの聖母”を呼ばれています。 その後ロシアのロマノフ家ニコライ1世が王室コレクションの目玉として購入。 ロシア革命の後のソビエト政府が財政難からエルミタージュの作品を海外へ売却した為、現在はここへ落ち着いています。



Titian and Workshop 1540/1560-1565 "Venus and Adonis"


Jacopo Tintoretto 16th "The Madonna of the Stars"


Murillo 1655/1660 "Two Women at a Window"




Peter Paul Rubens 1606 "Marchesa Brigida Spinola Doria"
ジェノヴァのドリア家、ジャコモ・マッシミリアーノ・ドリアが結婚した際に、ルーベンスに妻の絵を描かせたもの。


Peter Paul Rubens 1614/1616 "Daniel in the Lion's Den"
旧約聖書の中のダニエル書にある、ライオンのいる洞窟に投げ込まれたダニエルの様子。




Peter Paul Rubens 1604-1608 "The Fall of Phaeton"


パエトンの墜落を描いた作品ですが、ルーベンスが描くと肉々しく躍動的。


Rembrandt 1659 "Self Portrait"
レンブラントの肖像画は世界中で見るような気がしますが、それもそのはず、100点も描いているそうです。



この2点の小さな作品はフェルメールの一対で描かれた作品とされていて、唯一板に描かれているものだそうです。 が、フェルメールの作品か疑問もあるそうです。


ワシントンと言えば八村塁の所属したウィザーズの本拠地ですが、ちょうど自分たちの公演前にホーム試合があったので、初NBA観戦してきました。




いや、ちゃんとバスケットボールを見たのは初めてでしたが、さすがNBA面白かったです。 八村選手も活躍で、ウィザーズ僅差でしたがリードをキープして勝利!!



ホワイトハウスにもほど近い場所にある”トランプ・インターナショナル・ホテル”。 トランプさんが大統領の時には様々な国家行事にも使われたそうですが、去年427億円で売却。 今はがら~んとしています。



ここも以前書いた覚えがありますが、スミソニアンのアメリカ歴史博物館。
が、今回行ったらなんだか内容が寂しくなっていて滞在時間も短め。


映画”オズの魔法使い”が撮影されたのは1939年。 ジュディ・ガーランド演じるドロシーの履いていた赤いスリッパ。


ここはアメリカの成り立ちや成長に関する様々な展示がありますが、これは1876年のグラハム・ベルの電話。


トーマス・エジソンの展示。



エジソンが電球を発明する際に世界中フィラメントに適した素材を探して、結局京都の竹か使われたのはあまりにも有名な話ですが、これがその試行錯誤の様子。







午後はジョージタウンでゆっくり。






観光客がいないせいか、議事堂周辺もがらがら。。 ほぼほぼ人の影すらない。。



この日立ち寄ってみたかったのはここ”トーマス・ジェファーソン・ビル”。
トーマス・ジェファーソンはアメリカの独立宣言の主要な起草者の一人で、第三代合衆国大統領ですが、そんな彼の世界最大の図書館。
図書館自体はいくつかの建物で構成されていて、蔵書を出してもらうだけでも半日掛かったりするらしい。。


建設は1890年から8年を掛けて作られたそうなのですが、その内装が豪華!


まず入り口を入って見学できるのが、アメリカを代表する作曲家ジョージ・ガーシュインの展示。
彼は絵を描くことも好きだったそうで、これは彼が亡くなる年に描いた自画像。
ちなみに数々の有名な曲を世に送ったガーシュインですが、38歳の生涯と早世でした。


1933年に彼がデザインしてくつったデスク。 彼の人生の後半の作品はこのデスクで創られたそうです。


1930年代の”I Got Rythm”のスケッチ。



サマータイムで有名な"Porgy and Bess"のスケッチ。


1910 ガーシュウィンの初めのメトロノーム。


”ラプソディー・イン・ブルー”のテーマ。


1925 スタンウェイのピアノ。 ガーシュウィンはこのピアノで数々の名曲を生み出したそうです。



ガーシュウィンが作曲している間、兄のアイラはこのタイプライターで作詞をしていたそうです。


ガーシュウィン本人による演奏。


この建物のホール。
アメリカにある建物では珍しく”張りぼて感”がなく、すべて”本物”の資材を使って建設してあって、大理石もイタリアをはじめ世界中から取り寄せて作ったそうです。



天井のモザイクはすべて床で反対向きに造って、それを天井に張り付けたそうです。 それでも重機の無い時代に8年間で完成させたのはすごい!




豪華な宮殿のような天井。









アメリカにいることを忘れてしまいそうな建物です。


ここが中央部のライブラリー。 贅を尽くした内装です。






こんな場所だと居眠りしながら本読みできない。。



1812年、まだ未完成だった議事堂へイギリスの兵が攻めてきて火災が発生、大切な蔵書も議事堂へ置かれていたため、トーマス・ジェファーソンが当時アメリカで一番蔵書の数が多く、それを売り1815年に図書館の購入をしたそうです。



トーマス・ジェファーソン所有だった本の数々。









議事堂の正面も不安になるくらい人影がない。。




5.9メートル、6.8トンもある”フリーダム”と名付けられたブロンズの女神(1860-1862)。








NASAアメリカ航空宇宙局の本部。



ここは入場料の掛かる”聖書博物館”ですが、ここのメインの展示物と言えばかの”死海文書”だったのですが、2020年、所有していた16点の全てが偽物であったことが判明。 ショッキングなニュースでした。



このスミソニアン博物館群。
この博物館が出来たストーリーも興味深く、1829年、イギリスの貴族の私生児で科学者だったジェームズ・スミソンがイタリアで亡くなります。 彼は遺言として一度として訪れたことがなかったアメリカに”知識の普及と向上”の為と全財産を寄贈。
それを元にスミソニアン協会が設立されたのですが、なぜ彼がアメリカへ莫大な遺産全てを寄贈したのかは分からないそうです。


一度はイタリアで埋葬された彼は1903年、遺骨として初めてアメリカへやって来てここへ埋葬されました。




彼の名前にちなんで名付けられた”スミソナイト”。



1855年に完成した最初の建物がこれで、1960年代までは展示品があったそうです。




1879年の展示室の様子。 




1858年の外観。


行き度か火災にも遭っているそうなのですが、現在ともほぼ見た目が変わらないような気がします。




モールの中心ワシントン・モニュメント。


スミソニアン協会本務の向かいにあるのが、ここも何度もブログに登場している自然史博物館。


最近では日本でも随分と知名度の上がっているハリー・ウィンストン。 ここスミソニアンに”ホープ・ダイヤモンド”を寄付したのも彼。


あまりに輝きすぎていてちゃんと写真に撮れませんが、45.52カラットのブルー・ダイヤモンド。
9世頃にインドで農夫によって発見されたこのダイヤは、その大きさと魅力、力がゆえに数奇な運命を経てここへとやって来ることになりますが、詳しくはウィキ教授で。


以前も数々の巨大な宝石を紹介したと思いますが、ブラジルのミナスから出た世界最大のアクアマリン。 その大きさ10363カラット。


こちらもブラジルのミナスから出たトパーズ。 50.4Kgと31.8Kg。


スリランカから出た世界最大のブルー・サファイア。 423カラット。
もともとはインドのマハラジャの所有だったらしいのですが、ニューヨークのグッゲンハイム家のロバート・グッゲンハイムから奥さんのレベッカがクリスマスギフトとしてもらったそうで、その後ローガン家へ入った為”ローガン・サファイア”と呼ばれています。


エメラルドの結晶がゴロゴロ。


コロナの最中ということもあって、世界の感染症の歴史についての展示も。




去年バーンズさんから寄付されたという巨大なクオーツ。対象物がないのでどれだけ巨大なのかが伝わりにくいのですが、めちゃめちゃ巨大です。


ウィザーズのロッカールーム。 この仕事をしていると普通は入れないこんなところも見られるのがお得!



会場のすぐ隣にあるので、ショーの前でも立ち寄ることのできる”ポートレート・ギャラリー”。


この日はヴェネチアとアメリカの歴史のエキシビジョンをやっていました。
1世紀のモザイクのローマン・グラス。








1866年にムラノ島で制作されてアメリカに寄贈された、リンカーン大統領のモザイク画。






歴代大統領のポートレイトの展示。


1865年2月、リンカーン大統領が射殺される2か月前に撮られたポートレイト。


1957年に撮られたケネディ夫妻のポートレイト。



2008年初め、ロサンゼルスのグラフィック・アーティストのShepard Faireyがこのオバマさんのポートレイトを製作して、それがその後Tシャツやポスターとして世に出回るとアイコニックなイメージとして定着しました。



大好きなノーマン・ロックウェルによるニクソン大統領。


1884年に作られたテラコッタの自由の女神。
1886年にNYの自由の女神は除幕されましたが、これはその前に製作者のバルトルディが議事堂へ納めたもの。





Abbot Handerson Thayerの作品の部分。






キャサリン・ヘップバーンのポートレイトと彼女のオスカーの数々。







ワシントンもかなりの大入りで、スケジュールは忙しいものの、報われる一週間でした。 月曜日まで仕事で、ショーの後そのままバスでボストンへ8時間で移動。

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