ディジョンからリヨンにかけてが有名なブルゴーニュ・ワインの産地なのですが、その中でもここボーヌにかけてが特に有名で高価なワインを産出する地域“コート・ド・ニュイ””コート・ド・ボーヌ”になります。
ボーヌはとっても小さな城壁に囲まれた街なのですが、ここがブルゴーニュ・ワインの流通の中心地になっています。 どの通りもまるで映画のセットにでも迷い込んだかのように雰囲気があります。 石畳と趣のある壁の色、苔むした屋根と立ち並ぶ煙突がかわいらしいです。
これがこの小さな街の観光の中心”オテル・デュー”。 ここは1443年に創設された、貧しい人達に無料で医療を施したホスピスです。 広い葡萄畑を持っていて、そこで生産されるワインでここの費用はまかなわれていたそうです。 現在でも規模は小さくなったもののワインの生産は続けられていて、購入することも出来ます。
建物に入って中庭に出ると、このカラフルな瓦屋根が大変印象的です。
この広間は当時の様子のままに保存されているそうなのですが、奥にはチャペルがあります。
聖ユーグの部屋。 どういう人がここの病棟にいたのかは知りませんが、こんな絵画に囲まれたりチャペルに面した部屋だと1日中ベッドにいても飽きそうにないですね。 その他にも薬局や厨房や、興味深い展示がありました。
プラプラ歩いて立ち寄ったのがこの"Caves des Cordeliers"。 オテル・デューの棟続きにあるのがこのカーブ。 1245年に創設されたボーヌで一番古い修道院で、地下にはカーブがあってワインづくりも行われていました。
そんなに広いカーブではないのですが13世紀から続く古いものです。
8ユーロでワイングラス付きのテイスティングで4種類のワインが試せます。
まずフランスのワインについての説明ですが、他のワインが葡萄の種類”ピノ・グリージオ””シャルドネ”“メルロー”などの名前で売られていますが、ここフランスは安価なテーブルワインを除き、産地の名前で売られています。
葡萄畑は葡萄の育ちの良さによってランク付けがされていて、一番下が"Regionales"で全体の56%で、ラベルにはブルゴーニュと葡萄の種類”ピノ・ノワール”とだけ書かれます。いわゆるテーブルワインです。
その上が"Communales"で全体の30%。 ラベルには村の名前(たとえば"Gevrey-Chambertin")が書かれます。
その上が”1erCrus"もしくは"PremireCrus"で全体の11%。 ラベルには"Gevrey-Chambertin 1er Crus"などと書かれます。
そして、最上級が"GrandsCrus"で全体の3%。 ラベルには"Gevrey-Chambertin GrandsCrus"と書かれます。
そしてたとえば同じ"Gevrey-Chambertin Grands Crus"でも色々な会社の色々なラベルがあるのですが、それは同じワイン畑にいくつものオーナーがいるからで、値段にも大きな差が出て来ます。(同じ畑で出来たブドウなのに不思議ですね。)
ここのカーブでは66ユーロのGrandsCrusも試飲させてもらえます。
ここがその向かいにある"Marche aux Vins"です。 ここはなんと10ユーロで16種類ものワインがテイスティングできます。
ブルゴーニュのワインはほとんどが赤なのですが、葡萄の種類は赤が全てピノ・ノワール種、白が全てシャルドネ種です。 それが村や畑によって全く違う味のワインになるのは不思議ですね。
地下のカーブを歩きつつ、そこに置いてあるボトルから自分でつぎつぎ試飲します。
ここも昔は13世紀から15世紀の教会なので、内装だけでも雰囲気があります。
ちゃんとしたペースで飲んで、味見をしては残りは捨てないと最後には酔ってしまうのでご注意を。
自分達が最後の客だったのですが、オーナーの様な人が色々な質問に答えてくれて、しかも奥の部屋で別のワインまでグラスで試させてくれたりと、ここは大変勉強になりました。 昔のボトルのストックも豊富で、1904年からのボトルが売られています。 自分の生まれ年もRomanee村のGrandsCrusが残っていたのですが、値段は高いものの、その種類のその年代にしては格安だったので、今度の誕生日に友達が買ってくれることを期待しましょう。。。
外に出るとすでに真っ暗。 オテル・デューの壁をスクリーンにショーが行われていたのですが、結構フランスあちこちでこういうショーが行われているのようです。
ボーヌを離れ電車で北へ30分、今夜の滞在先ディジョンへやって来ました。 せっかくのブルゴーニュなので、今夜はブルゴーニュ料理を食べに行ってみました。
とはいえ、フレンチの代名詞の様なエスカルゴ。 何度食べても美味しいです。 残ったバジル・ガーリック・オイルをパンに浸み込ませて食べるのもウマウマです。
ブルゴーニュの郷土料理”ブッフ・ブルギニョン”。 いわゆるビーフの赤ワイン煮。 ちょっとした苦みと柔らかく煮込んだ牛肉、なめらかな舌触りが美味しいです。 本当は赤ワインと一緒に食べたらおいしいんだろうけど、今日は昼から飲み過ぎていたのでディナーで飲むのは遠慮しました。
夜に部屋で飲むために普通の“ジュブレ・シャンベルタン”を買っておいたので、それに合わせたチーズも買っておいたのですが、お店で見たこのカビカビ度につい挑戦してみたくなってしまいました。 その名も"montbriac"。 フランス語でモンブラン。 周りに灰がまぶしてあるのですが青カビのチーズです。
ゴルゴンゾーラの仲間らしいのですが、食べてみるとあんまり臭みもきつくなくってとってもクリーミ~! 食べたら見た目ほどの恐怖感はなく、とーってもなめらかで芳醇なチーズでした。
ゴルゴンゾーラの仲間らしいのですが、食べてみるとあんまり臭みもきつくなくってとってもクリーミ~! 食べたら見た目ほどの恐怖感はなく、とーってもなめらかで芳醇なチーズでした。
第2日目。 今日は朝の9時半からツアーでブルゴーニュ・ワインのシャンゼリゼと呼ばれる“コート・ド・ニュイ”観光に行きました。 ツアーといっても自分達とオーストラリア人2人だけだったのでのんびりしたものでした。
この世界で最も偉大なワインを産するコート・ド・ニュイは全長20キロ、ロマネ・コンティやシャンベルタンを産します。
ここには上記にも書いたようなワインの最上級"GrandsCrus"の畑が33もあります。 そして写真の土の色の違いは同じ畑でもオーナーが違うということが分かります。 なので、同じ村の同じ畑の同じグレードの名前のワインでも、名前も違えば値段も変わります。 こんなに隣り合わせでも値段が違うなんて不思議ですね。
時々袋のかかったブドウの木があるのですが、それは成長過程の葡萄だそうで、ワインを作れるに至るには25年もかかるそうです。
ここがあのナポレオンが愛したブドウの産地ジュヴレ・シャンベルタン。 この畑も”シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ”という"GrandsCrus"の畑です。
ここがシャンベルタンの“シャンベルタン”!! 日本でよくシャンベルタンとして売られているのはよそのシャンベルタンと名の付く畑の物もあるようなのですが、ここが正真正銘シャンベルタンの畑です。 広さは12.9ヘクタール。 1ヘクタールから約4~5000リットルのワインが作れるそうです。
ここはヴォーヌ・ロマネ村の中にある”エシェゾー”。 ここももちろんGrandsCrusです。 味見させてもらいましたが、なかなか美味しかったですよ。 値段もオーナーによってピンキリですが日本だと数万円から年によっては10万円台をはるかに超えます。
さ、この文字が読めるでしょうか? そうです、“ロマネ・コンティ”です。 ここのオーナーはDRC社なので、ラベルは1つのみです。 たった1.9ヘクタールの狭い畑で、年間出来のいい年でボトル7000本、出来の悪い年で4000本程度しか生産できず、しかも購入するには何年も待たなければ買えません。 しかも1本づつは売らず、12本のまとめ売りだそうです。
ここがシャンベルタンの“シャンベルタン”!! 日本でよくシャンベルタンとして売られているのはよそのシャンベルタンと名の付く畑の物もあるようなのですが、ここが正真正銘シャンベルタンの畑です。 広さは12.9ヘクタール。 1ヘクタールから約4~5000リットルのワインが作れるそうです。
ここはヴォーヌ・ロマネ村の中にある”エシェゾー”。 ここももちろんGrandsCrusです。 味見させてもらいましたが、なかなか美味しかったですよ。 値段もオーナーによってピンキリですが日本だと数万円から年によっては10万円台をはるかに超えます。
GrandsCruの畑は大体が丘の斜面にあって、東から上がる太陽をしっかり浴びれて、しかも地下水にしっかり葡萄の根がとどく所にあるそうです。
さ、この文字が読めるでしょうか? そうです、“ロマネ・コンティ”です。 ここのオーナーはDRC社なので、ラベルは1つのみです。 たった1.9ヘクタールの狭い畑で、年間出来のいい年でボトル7000本、出来の悪い年で4000本程度しか生産できず、しかも購入するには何年も待たなければ買えません。 しかも1本づつは売らず、12本のまとめ売りだそうです。
ちなみに日本でかなり若い2006年物で一本73万円、高いもので300万円近いです。
ちなみに道を挟んですぐ下の畑がGrandsCrusの”ロマネ・サン・ヴィヴァン”なのですが、ここの畑の物だと2~3万から手に入るので、ロマネ・コンティには手が届かない人もここのワインは飲めるそうです。
ワイナリーの人に聞いたら、その人はロマネ・コンティを飲んだことがあるらしく、確かに美味しいけど、近い味の物はあるという話でした。 100万以上払って飲む価値はどこにあるのでしょうか??
ワイナリーの人に聞いたら、その人はロマネ・コンティを飲んだことがあるらしく、確かに美味しいけど、近い味の物はあるという話でした。 100万以上払って飲む価値はどこにあるのでしょうか??
さて、ディジョンの街に戻って来ました。 ディジョンはもちろんマスタードで有名な街ですが、フランスのスーパーなどでおなじみの"Maille(マイユ)"の本店があります。
ここにはいろんな味のマスタードがあって、カシス・マスタードや、シーズン物のチョコレート・マスタードなんてものもありました。 まるでビールのサーバーの様なものがあって、瓶に量り売りもしてくれます。
ディジョンのノートルダム教会。 13世紀に完成した建物です。
内部の装飾は簡素です。
教会の北側にはこのフクロウと思われる鳥が彫られているのですが、ディジョンには願い事をしながらこのフクロウをなでる習慣があるそうで、自分も色々願い事をしつつスリスリしておきました。 余談ですが、このフクロウは2001年に何者かによって破壊されて、今あるのは複製品だそうです。 以来監視カメラが回っているそうです。。。
これが6世紀から7世紀の作といわれる“黒い聖母”像。 もとは冠をかぶって椅子に座り、膝の上にはこれまた冠をかぶったイエスを乗せていたそうなのですが、椅子はその後紛失し、イエス像は革命時に取り払われたそうです。
戦争の際何度か奇跡を呼んだ篤い信仰のあるマリア像です。 黒い聖母と呼ばれる理由は、16世紀か17世紀に、理由は分からないものの真っ黒に塗られ、1945年にこの色がはがされるまでそう呼ばれていたそうです。 顔の肌に塗られた色は1963年に消されたそうです。
教会の北側にはこのフクロウと思われる鳥が彫られているのですが、ディジョンには願い事をしながらこのフクロウをなでる習慣があるそうで、自分も色々願い事をしつつスリスリしておきました。 余談ですが、このフクロウは2001年に何者かによって破壊されて、今あるのは複製品だそうです。 以来監視カメラが回っているそうです。。。
ここが街の中心地、ブルゴーニュ大公宮殿。
半円形の美しい広場なのですが、あいにくの冷たい雨で写真を撮るだけで通り抜け・・・。
ここはマーケットなのですが、これを設計したのはエッフェル塔を設計したディジョン出身の建築家エッフェルです。
ディジョンの観光を終えて、日が暮れる前、安いワインが買いたくて再びボーヌへ戻って来ました。 また別のカーブへ行ってみたのですが、ここは"Caves Patriarche Pere et Fils"。 ボーヌで一番広いカーブだそうで、中には暗ーいカーブが延々広がっていました。
ディジョンの観光を終えて、日が暮れる前、安いワインが買いたくて再びボーヌへ戻って来ました。 また別のカーブへ行ってみたのですが、ここは"Caves Patriarche Pere et Fils"。 ボーヌで一番広いカーブだそうで、中には暗ーいカーブが延々広がっていました。
こんな大きな樽も。
古いボトルはこんなに埃にまみれています。 ここでもたくさんテイスティングをしたのですが、あまり高級な種類が少なく、まぁまぁと言ったところでした。
ということで、昨日行った"Marche aux Vins"が親切で、で段も手ごろだったので再び戻ってみることに。 そこで色々なリストを見せてもらったのですがなんと1977年のグラン・エシェゾーのGrandsCrusが随分と安い値段で出ていたので(それでも高い・・・)、ナターリアの誕生日プレゼントを兼ねて、彼女の生まれ年のワインを買って帰ることにしました。
色々なワイン・リストを見せてくれている際にロマネ・コンティも1本だけ残っていると教えてくれたのですが、ダメを承知で見せて欲しいと言ったら、なんとカーブの奥の鉄格子の中に鍵を開けて連れて行ってくれて、しかもまたその中にある鉄格子の棚を開けて取り出してくれました。 泣く子も黙る、世界最高級ワイン“2004年ロマネ・コンティ”です! 平民な自分がお目にかかれるのはこれが最初で最後でしょう。 ちなみにお値段8400ユーロ(現在レートのいい日本円で90万円です)。
無理は言って見るものですね。 あははは。。。
これが購入した1977年のグラン・エシェゾー。 フランスのワインは旅をすると飲む前に少なくとも2週間、出来れば3カ月は寝かせないといけないそうなので、ホテルに帰ったらすぐにナターリアに開けてもらって味見をしました。
口のカヴァーを外すと埃とさびが溜まっていて、30年の時を感じました。 コルクを開けるのがちょっと堅かったのですが、グラスに注いだその色はすでにワイン・レッドではなくちょっと薄茶色。 ちょっと香りを嗅ぐとほんのりフルーティーな感じ、まわすと芳醇な時代を感じる甘い香り。 口に含むと酸味はちょっとしか感じず、かといって渋くもなく、軽い感じが残っていて、適度な丸みと程よい酸味と苦みが心地よかったです。 香りも驚くほどよく、ゆっくりと味わって飲むには最高でした。
今までこんなに古いワインは飲んだことがなかったので、一同驚きました。
ボーヌの駅。 6時半なのに静かです。
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