Thursday, September 29, 2022

nashiville


デトロイトでの忙しかった週末を終えて深夜のバス異動でテネシー州はナシュビルへ。
ナシュビルはカントリー・ミュージックの聖地で、エルヴィスをはじめ有名な歌手を沢山輩出しています。
またケンタッキーと同じくバーボンやジャック・ダニエルに代表されるテネシー・ウイスキーの産地。
ということで、この日は"Nelson's Green Brier Distillery"へ。 ビジネスが上々なようで、醸造所拡張の為に現在はツアーはしていないのですが、なかなか丁寧なテイスティングをやってくれました。


テネシーでは5番目に古い醸造所らしいのですが、ここも他の醸造所と同じく、ウィスキーの廃れた際に生産もストップしたそうなのですが、近年のバーボンブームに乗り復活。 昔の味も再現したそうです。



https://www.breakingbourbon.com/review/nelsons-green-brier-tennessee-whiskey


ダウンタウンの周辺にもいくつかの醸造所があるので、醸造所ホッピングをすることも可能。







平日でも、陽が暮れ始めるころにはメインストリートのブロードウェイは人で溢れ始めます。



このヌーディーズはもともとはスーツ屋さんで、ここを中心として活躍していた歌手が利用していました。




ここで作ったエルヴィスのスーツも飾ってあります。



あちこちのバーからライブ・ミュージックが流れてきます。



ここも有名な"Honky Tonk Central"。
4階それぞれにステージがあって、どこのフロアも夜通し盛り上がっています。


週の途中には37度にもなって暑さ再びと言った感じでしたが、次は一路カナダ。 すでに晩秋の気候です。

Saturday, September 24, 2022

detroit

デトロイトのダウンタウンで公演するのは実に20年以上振りでしょうか。
自分が会社に入った初めの頃に来たのが最後で、その後デトロイト公演は郊外のアーバンヒルズへ移動していたのですが、近年街の復活が著しく、以前のダウンタウンは危険極まりない昼間でも外を歩く人がほぼいない場所だったのですが、様々な企業誘致と住宅価格の安さなどから再開発が進んでいるようです。
現在でも犯罪率は高いそうなのですが、それでも昼間に外を歩いている人や、カフェでランチをするビジネスマンを見て感激! 以前のデトロイトの姿を想像するのが難しいほどです。




デトロイトはその昔は自動車産業で巨額の富を築いた街なので、一時期衰退して人も住まない地となったにも関わらず、20世紀初めころの豪勢な”ビルヂング”達が残っています。










例えばこの”ガーディアン・ビルディング”。 1929年に完成したアールデコの美しいビルで、当時の栄華が想像できます。


ここは地形的に面白いのですが、写真右側にあるデトロイト川を挟んで南側がカナダで、北側がデトロイトになります。
奥に見える建物が”GM(ゼネラル・モーター)”の建物です。


有名なボクサーでデトロイトで育った”ジョー・ルイス”のモニュメント。



"The Spirit of Detroit"。
デトロイトの象徴的な像。


GMビル。



川沿いに国境を抜けるトンネルがあって、すぐ近くに見える対岸がカナダです。



"デトロイト美術館(Detroit Institute of Arts Museum)”。


はっきり言って、こんな素晴らしい美術館がデトロイトにあったことを今まで知りませんでした。 建物もコレクションも、どれも素晴らしく、サイズ感もちょうどいい感じ。 休憩できる中庭のカフェも最高で、ランチも美味しかったです。


"King David Handling the Letter to Uriah" 1611 - Piter Pietersz Lastman


彼はレンブラントの先生で、ドラマティックな物語性など、強い影響を受けたそうです。


"Rembrandt's Son Titus" 1661 - Rembrandt
レンブラントによる息子のタイタスの肖像画。



"Prespective Box of a Dutch Interior" 1663 - Samuel van Hoogstraten
17世紀の3Dと言ったところでしょうか。 視覚効果を生かした箱で面白い!



"The God Samaritan" 1635 - Daniel Bretschneider the Younger
こちらはドイツの17世紀の3D作品。 何枚ものガラス板に絵が描かれていてなかなかの3D感。

"Officer of the Hussars" 2007 - Kehinde Wiley

この絵が描かれた際には話題になって雑誌でも見た覚えがありますが、ここにあったんですね。 Kehinde Wiley, Officer of the Hussars | DailyArt Magazine





"Madonna and Child" 1509 - Giovanni Bellini
15世紀の巨匠ベッリーニによる”聖母子像”。 


"Salvator Mundi" mid 1500s - Attributed to Giampietrino
近年美術史上最大の話題となったダ・ヴィンチのサルバトール・ムンディ。 自分もルーブル美術館で行われたダ・ヴィンチ展では工房策のムンディは見ましたが、ダ・ヴィンチが描いたとされるのは1500年代初め、こちらはダ・ヴィンチの工房にも名前のあったジャンピエトリノによる作品。 彼はダ・ヴィンチの作品をいくつも複製していたそうです。



まるで中世のお城のような一角。


ガラスには17世紀のステンドグラスもはめられていて、窓越しには中庭が見えるので、ここがアメリカなことを忘れそうになります。


"The Wedding Dance" 1566 - Bruegel





"Martha and Mary Magdalene" 1598 - Caravaggio
ここにカラヴァッジョの作品があるという知識は全くありませんでした。。


カラヴァッジョの作品はどれも極端なまでの印影と、ドラマティックな一瞬を切り取った構図に引き込まれます。


まるで中世ヨーロッパの修道院に来たかのよう。


"Christ's Entry into Jerusalem" 1480 - 1490 (Unknown artist - German)



"Annunciatory Angel" 1450 - 1455 Fra Angelico
"Virgin Annunciate" 1450 - 1455 Fra Angelico

フラ・アンジェリコの描いた天使ガブリエルとマリア。



デトロイトにこんな素敵なフラ・アンジェリコの作品があったなんて。。



"The Resurrected Christ" 1480 Sandro Botticelli








ワシントンの国立美術館やボストン美術館でも同じものを見ることが出来ますが、Copleyによる"Watson and the Shark" 1782。 



"Girl Reading" 1938 - Pablo Picasso


"Woman Seated in an Armchair" 1923 - Pablo Picasso


"Melancholy Woman" 1902 - Pablo Picasso

"Self Portrait" 1893 - Paul Gauguin


"On the Beach" 1868 - Edouard Manet




ヨーロッパの修道院の中庭のようなカフェ。 値段も普通で、美味しいランチでした。 美術館へ入場していないと入れませんが、とっても素敵な空間です。


これもここに来るまで全く知りませんでしたが、この美術館の最大の魅力ではないかと思われるディエゴ・リベラの一室を埋め尽くす”デトロイトの産業”と題された壁画。


世界恐慌のさなか、1932~1933年にかけてここデトロイトへやって来て描かれた作品で、フォードの工場での作業の様子が描かれています。(ヘンリー・フォードの息子からの$20,000の寄付もあったそうです)


彼は3か月に渡ってフォードの巨大な工場を見学して、8か月の間、アシスタントと共に毎日休みなく15時間描き続けて完成させたそうです。


作品の中にはメキシコの神を模したイメージがいくつも込められています。




メキシコ・シティには彼の大きな作品も残されていますが、これももっと有名で、デトロイト観光のメインであってもいいような作品です。



日本でも有名な"Carhartt(カーハート)”。 デトロイト生まれのワークウェアの老舗ですが、アメリカのものはただのタフな作業着な感じ、日本で売られているオシャレな感じのものはヨーロッパラインのものなので、全く違うものな感じ。



いつも機会がなくて中に入ったことのない”FOX劇場”。
1928年に完成した劇場で、数々の有名な歌手やエンターテイナーが公演してきた会場で、内装も豪華なそうなのですが、未だに入る機会には恵まれず。。


この日は夕方から地元タイガースの大リーグ観戦。




結果はヒューストンアストロズの勝利でしたが、たまには野球観戦も楽しいものです。



この日はヘンリー・フォード博物館へ。
フォードは車の会社と言うことはともかく、流れ作業で生産をするライン生産方式を始めた人でもあります。
生産にあたり鉄の生産から組み立て、出荷までを一か所で行う巨大プラントが完成しますが、ディエゴ・リベラもこの工場を見学に来ています。 左奥に鉄工所などが見えますが、現在は敷地内のいくつかのプラントは使用していないので他の企業が使っているそうですが、それでもかなりの規模の工場です。



真ん中に見える建物がフォード本社。


車とは全く関係ないのですが、この博物館の行われていた特別展がディズニーのライブ映画で実際に使用されていたコスチュームの展示。 日本で行われたら行列が出来そうなエキシビジョンですが、ほぼガラガラ。。

これは2016年の”アリス・イン・ワンダーランド”でアン・ハサウェイとヘレナ・ボンハム・カーターの着ていた衣装。




2015年公開の”シンデレラ”。



日本ではあまり人気がないかもしれませんが、こっちでは結構な人気の”ホーカス・ポーカス”1993年公開の三姉妹の衣装。 なんと、同じ三姉妹で今月末に”2”が公開です!


超有名な衣装が並んでいるのに人がいない。。。


もちろんジョニー・デップの”パイレーツ・オブ・カリビアン”2006年。


1964年、”メリー・ポピンズ”でジュリー・アンドリュースの着たアイコンのような衣装。



2018年にリバイバルされた際のエミリー・ブラントの衣装。


2017年公開、エマ・ワトソンがベルを演じた”美女と野獣”から。







2014年、アンジェリーナ・ジョリーの演じた”マレフィセント”。


1997年、ホイットニー・ヒューストンがシンデレラの妖精を演じた際の衣装。

思いもよらずこんなところで実際の衣装の数々が見られたのはお得でした。


ここの博物館は車だけに特化しているわけでもなく、アメリカの産業全体に関しての膨大なコレクションがあって、1つ1つを詳しく見ていたら1日では足りないほどです。



1903年 フォード モデルA


1905年 フォード モデルB


1932年 フォード V-8



プロのドライバーも使うシュミレーション・ゲーム。 普段からレーシング・ゲームをやっている人には簡単なのかもしれませんが、自分はすぐにコースアウト。。。 2週目にやっと普通にコースを走れました。。




1880年代に初めて造られた車。。と言うか馬無し馬車。


いくつかの大統領専用車も並びますが、その中でもやはり注目はこのケネディ大統領の専用車。


1963年11月22日。 ダラスで狙撃され、悲劇の最期を迎えた際に実際に乗っていたのがこの車。


世界の歴史を大きく動かした事件に関わった車は、現在はここでひっそりと保管してあります。




汽車に引かれる車両はまるで馬車のワゴン。



車ははじめ高級車だったものが庶民でも手に入るレベルになり、その後スピードを追求していきます。 1902年のフォード999。







ダウンタウンの北にフォードの初めの工場が博物館として残されています。





フォードとしては2番目の工場で、フォードが大量生産に移るきっかけとなったモデルTの生産が始まった場所。






1896年、ヘンリー・フォードが初めて製作したモデル。
製作には2年を要して、時速は32キロだったそうです。



1903年。 フォードの最初のモデルA。


1904年。 モデルB。 $2000とかなり高価なラグジュアリーなモデル。


フォードが初めて低価格で生産したモデルN Runabout。 価格は$500で、時速は65キロほど。




1906年の工場の様子。



1909年。 この工場で造られたモデルT。 真っ赤なボディに金、かなり目立ったでしょう。。




1915年。 ドッジ・ブラザー・ツアーリング。
フォードで働いていたドッジ兄弟ですが、その後自分達で会社を立ち上げ生産を始めます。 1928年にはクライスラーに買収されその一部となります。
 





1925年。 モデルTをトラクターにしたもの。 現在のトラクターと大して変わりがないようにも見えます。


その後トラックになったりバスになったり。。 進化が進む様子も面白いです。



復活の進むデトロイト。 歴史も深いし観光資源も沢山あるので、これからもっと発展していきそうな予感です。