Tuesday, December 31, 2019

da vinci exhibition in louvre

パリでの2週間も無事に終わりましたが、パリの回を書く前に、このルーブル美術館で開催中の奇才レオナルド・ダ・ヴィンチのエキシビジョンについて書いておこうと思います。
1452年に生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって今年で500年。
それを記念してルーブル美術館が総力を挙げて企画したのがこの“ダ・ヴィンチ展”。
67歳でその生涯を終えたレオナルドですが、未完の物も含めて彼の作品とされるのは15点前後とされていますが、このエキシビジョンには世界中に呼び掛けて、その3分の2が集められました。

チケットは早々に完売状態で、知り合いでも1月前に取ろうと思ったら売り切れで諦めた人もいました。 早めに予定を決めていてラッキーでした!


"Christ and Saint Thomas" Andrea del Verrocchio about 1467-1483
まず入り口で迎えてくれるこの美しいブロンズは、レオナルドの師であるヴェロッキオの作。




"Saint-Morys Drapery Study for a Seated Figute"  1475-1482
"Study of the Head of a Young Man" 1470-1472
フィレンツェのウッフィッチ・ギャラリーにあるレオナルドの初期の名作”受胎告知”のマリアを思わせる顔。
"Publius Cornelius Scipio" Andrea del Verrocchio 1464-1469
これもヴェロッキオの大理石の作品。


"Study of the Virgin and Child, known as Madonna with a Fruit Bowl" 1478-1480

"Female head" 1485-1490
直した線の無いデッサンで、美しくやわらかな肌と髪の毛の流れる表情が印象的。 この憂いを持った視線がなんともレオナルドっぽいですが、今回のエキシビジョンで感じたのが、絵画の作品よりもデッサンの方がもっともっと繊細で表情豊かだと言うこと。 油絵の肌感の滑らかさはありますが、いやぁ、デッサンの線が異常に美しかったです。
"Studies for a Saint Mary Magdalene" 1478-1480
"The Hanging of Bernardo Bandini Baroncelli" 1479
1478年にフィレンツェを震撼させるパッツィ家の陰謀が起こり、ドゥオーモでメディチ家の兄弟が襲われ、弟のジュリアーノが死亡しますが、その扇動者の一人がこのベルナルド・バンディーニ・バロンツェッリで、1479年12月29日に絞首刑になった様子を忠実に描いています。
"Study for a Saint Sebastian" 1478-1482
"Study of a Maiden with a Unicorn" 1478-1480
何のために描かれたかは不明だそうです。
"Studies for a Madonna and Child with the Infant Baptist ; Human and Animal Profiles" 1478-1480
"Study for a Virgin Mary Washing her Son's  Feet ; Buttocks of a Child" 1478-1480
マリアのベイビー・ジーザスの足を洗う様子。
ラフなデッサンなのにとっても愛情に溢れた作品。
"Studies of Human Profiles" 1478-1480

"Study for The Adoration of the Magi" 1480-1481
レオナルドの初めのヴァージョンの”東方三博士の礼拝”
"Studies of a Horseman Fighting a Dragon" 1480-1481
"Studies of Two Hoursemen and  a Standing Figure for The Adoration of the Magi" 1480-1481
東方三博士の礼拝の一部の馬と馬乗り。

"Virgin and Child, known as the Benois Madonna" 1480-1482
ロシアのエルミタージュ美術館所蔵の”ブノアの聖母”。
1478年から制作を始めた2点の聖母子像の1つとされていて、もう1点は1ミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある”カーネーションの聖母”だとされていて、今回はここには来ていません。
こちらが以前ミュンヘンで見た”カーネーションの聖母”。
"The Penitent Saint Jerome" 1480-1482
ヴァチカン宮殿所有の”荒野のヒエロニム”。 この作品は描き始めの時点で放棄されたそうで、彼の不遇の時代の作品だったという説もあるそうで、その頃の日記によると”生きることを学んできたつもりだったが、単に死ぬことを学んでいたらしい”とあるそうです。
"La Belle Ferronniere" 1490-1496
ルーブル美術館所蔵の”ミラノの貴婦人の肖像”。 別の肖像画でポーランドのクラクフにある”白貂を抱く貴婦人”も一時期フランスのフランソワ1世の愛人の意”ベル・フェロニエーレ”と呼ばれていたそうです。
これが以前クラクフで見た”白貂を抱く貴婦人”。 人のほとんどいない展示室でゆっくり鑑賞したのを覚えています。 後世に色々な手を加えられていますが、これもミラノの貴婦人と同様美しい作品です。 ただ、こちらにはレオナルドの独特の表情はないようにも感じました。
こちらの作品も今回はルーブルには来ていません。
 "La Vierge aus Rochers" 1483-1486
”岩窟の聖母”。 これはルーブル美術館所蔵の物ですが、ほとんど同じ構図の物がロンドンのナショナル・ギャラリーにもあります。
元々ミラノからの依頼を受けてこちらを制作、何らかの理由でこの作品を別人に売却、その後ロンドン・バージョンを制作してミラノへ引き渡したとのこと。
こちらがロンドンのナショナル・ギャラリー所有の物で、現在はロンドンでもダ・ヴィンチの特別展を開催中の為にルーブルには来ていません。
 "Portrait of a Young Man Holding a Musical Score, known as The Musician" 1483-1490
ミラノのアンブロジアーナ図書館所蔵の”音楽家の肖像”。
"Study for the Fac of the Angel in the Virgin of the Rocks" 1490-1494
岩窟の聖母の中の天使のデッサン。
"Head of Saint John the Baptist" 1485-1490
こちらも岩窟の聖母のヨハネのデッサン。
レオナルドは単に芸術家と言うわけではなく、音楽、建築、数学、土木工学、解剖学、天文学、物理学などなど、まだこれ以上多岐に渡った専門知識を持っていますが、ここからの展示は彼のそういった一面を見ることが出来ます。






植物に対しての観察眼も鋭く、 あらゆる分野において学者級です。


解剖図も医学書並み。


ここまで来たら動物図鑑です。 毛並みの方向まで本当に詳細に描かれています。
鳥の旋回する様子。


日本の円墳にも思える墳墓の図。




"Grotesque Head" 1500-1506
"Portrait of Isabella d'Este" 1499-1500
”マントヴァ侯妃イザベラ・デステ”のデッサンで、レオナルドと親しかった女性はデステ姉妹だけだったと言われているそうで、このデッサンをもとに肖像画を描いたものの、現存はしていないと思われていたものが、2013年にスイス銀行の保管庫から発見され、レオナルドの研究家によると、真筆で間違いないとされているそうです。
"The Virgin and Child, know as the Virgin of the Yarnwinder or the Landsdowne Madonna" 1501-1510
さて、この”糸車の聖母”は、全く同じ作品がスコットランド(バクルーの聖母)とアメリカの匿名の個人所有(ランズダウンの聖母)の2点存在していて、レオナルドの工房で同時期に制作されているとはされていますが、それぞれに真作、合作、時代時代での修正が加えられたりしています。 詳しくはウィキ教授に。
今回は両作品が隣同士に並ぶという稀有な機会となっていますが、こちらはランスダウンの聖母です。
"Studies of Mechanics; Sketch for the Battle of Anghiari and the Angel of the Annunciation" 1503-1504
"Study for the Battle of Anghiari" 1503-1504
"Study for the Head of a Soldier in th Battle of the Standard" 1504
"Study for the Battle of Anghiari" 1503- 1504

"Studies of the Hear of Leda" 1505-1506

"Studies of the Hear of Leda" 1505-1506
これらはエリザベス女王の所有。
"Head of a Woman" 1508
パルマ国立美術館所蔵の”ほつれ髪の女性”。
作品は未完ですが、これだけでも十分に美しい作品。
"Study for Saint Anne : Head of th Virgin" 1507-1510
マリアが受難を暗示した幼児キリストに投げかける視線。
"Study for Saint Anne : Arm of the Virgin" 1507-1510
"Study for Saint Anne : Head of Saint Anne" 1502-1503
"The Virgin and Child with Saint Anne and the Infant Saint John the Baptist, known as The Burlington House Cartoon" 1500
ナショナル・ギャラリー所蔵の”聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ”
これをもとに描かれた作品は存在していませんが、類似した作品に下のルーブル美術館所蔵の”聖アンナと聖母子”があります。 が、こちらには洗礼者ヨハネの姿は描かれていません。
"Saint Anne , the Virgin Mary, and the Infant Jesus Playing with a Lamb, known as Saint Anne" 1503-1519
ルーブル美術館所蔵の”聖アンナと聖母子”
生贄の羊を抱く、将来の受難を暗示したキリストに意味ありげな視線を投げかけるマリアと、同じく意味ありげな微笑みを投げかけるアン。 上に貼ったデッサンがこの絵の二人です。
"Salvator Mundi (Ganay version)" 1505-1515
プライベート・コレクションのサルバトール・ムンディ(救世主)。
これはレオナルドの工房で制作された作品ですが、レオナルドの描いた同作品は2017年のクリスティーズのオークションで、史上最高額508億円で落札されました。 この作品、1958年には複製とされ、たった45ポンドで落札されていて、2005年には美術商が100万円程度で購入、その後修復を行いレオナルドの真筆と証明されます。 曰くつきの作品で、今回出展が期待されましたが、残念ながらこちらの作品のみになりました。
"Study for the Salvator Mundi" 1500-1506
こちらはレオナルドによる救世主の習作。
"Saint John the Baptist" 1513-1516
ルーブル美術館所蔵の”洗礼者ヨハネ”。
"Portrait of Leonardo da Vinci" Francesco Melzi 1515-1518
レオナルドの工房のアーティスト、フランセスコ・メルチによるレオナルドの肖像画。
ここで特別展の展示は終了。
ここに移動していない作品と言えば??
はい、”モナリザ”です。
このモナリザはいつもの展示場所に置いてあるので、エキシビジョンに入れなかった人たちも見ることが出来ます。
こちらのワシントンのナショナル・ギャラリーにある”ジネーヴラ・デ・ベンチの肖像”は今回ここには来ていませんが、ワシントンに行く度に見に行ってます。
今回のエキシビジョンで、レオナルドの作品はほぼ全作品制覇です。


ここからは足早に常設展をさーーーっと。
レオナルドを語る時欠かせないのはラファエロ。
カラヴァッジョの”女占い師”1595








サモトラケのニケ。








ミケランジェロの”瀕死の奴隷”。


















今回のダ・ヴィンチのエキシビジョンとコラボレーションをしたOff-White。 こことネットで買えるそうですが、多分プレミアがつくんだろうなぁ??


最近ちょっとモンブラン癖が付いていますが、ルーブル美術館にも近い何度も行ってる有名店”アンジェリーナ”。 ここのは栗っぽさも出てていい感じ。
とりあえず駆け足でダ・ヴィンチ展の事のみ書いてみました。 パリの2週間についてはまた後日。。 現在12月30日。 明日の大晦日も仕事ですが、元旦のみお休みなので、最後まで走りきろう!!