Saturday, July 27, 2019

bogota, el dorado

コロンビア最後の公演先、首都のボゴタへやって来ました。
ここは標高2640メートル。 
気温も一年中こんな感じで安定しているようで、ちょっと肌寒いのですが、標高が高いので、太陽が出ると紫外線は強いようです。
街の中心部、ボリバル広場の鳩も寒そうにして動かず。  ほぼ赤道直下であるにもかかわらずこんな感じです。
ここボリバル広場(日本では”ボリーバル”と表記するようですが、スペリングはBolivar)はラテンアメリカを独立・解放に導いた英雄シモン・ボリバルにちなんでいます。 ちなみにボリビアの国名も彼の名前が由来です。
コロンビアはつい近年までかなり複雑で混沌とした時代を過ごしていますが、やっと安定への光が差し始めているようで、ボゴタでも近代化がどんどんと進んでいるようです。
広場には国会議事堂、裁判所など、国の行政機関が並んでいますが、その中でも一番目立っているのがこのカテドラル。




建物は1823年の完成で、礼拝堂は1660年の築だそうです。

ボリバル広場からのびる7番通りは歩行者天国になっていて、雨の降っていない日は市も並んで活気があります。

このサンフランシスコ教会は1500年代に建設が始まって、1640年代に完成したというボゴタでは最古の教会。
内部は撮影が禁止なのですが、外観からは想像もつかないくらい内部の木製の装飾は美しく、祭壇も荘厳です。 当時のスペインの教会がタイムスリップして来たかのようです。
コロンビアは世界の70%ものシェアを占めると言われるエメラルドの産地。
石のクオリティの世界トップだそうで、ムソー(英語発音だとムゾー)、チボール、コスケスの鉱山が有名で、その他にもボゴタ周辺に鉱山が点在しています。
ムソーが一番高品質なエメラルドが産出されるそうで、チボールもムソーと並び有名で、透明度の高い石が出てくるそうです。
そんなエメラルドの博物館が入っているのがこの建物。 外観はオフィスビルなのですが、ここの受付にパスポート(もしくはコピー)を見せて23階へ。
ここはエメラルド商が個人でやっている博物館。
内部は撮影禁止なのですが、ガイドさんが付いてくれてコロンビアのエメラルドについて詳しく説明を聞かせてくれます。
最高品質の大きなエメラルドの結晶をはじめ、様々な眩い石も展示してあります。
窓からの景色だけは撮ってもいいので、こんな感じ。
ボゴタ市内ではエメラルドを扱うお店もいくつもあるし、スペイン語が堪能ならエメラルド・ストリートに個人的に売りに来ている人達と購入することも可能。 しかし、宝石というのはかなり詳しい知識が無いと、そのクオリティーと本物と偽物の違い、加工をしているかしていないかを判別するのは難しいもの。 博物館の人にどこが購入するのが一番安心なのかを相談してみるも、これがかなり難しい質問だったようで、こればかりは店主と色々と話してみて、どれだけそのお店の事を信用できるかどうかによるとのこと。
エメラルド・トレード・センターの中のお店を巡ってみるのが一番安全で信用が出来そうだったので、そこで探してみることに。
と、その前に、エメラルド博物館の斜め前にある”黄金博物館”へ。
コロンビアは大航海時代にヨーロッパで噂をされた黄金郷”エルドラド”が存在すると思われた場所。
エルドラドはヨーロッパ人の描いた夢物語ですが、実際にプレ・コロンビア時代には数々の黄金の装飾品がつくられていて、それを一挙に展示している博物館がここ。
詳細については書きませんが、そのデザインは大変ユニーク。












































埋葬されていた様子。






























ポポロと呼ばれるコカの葉(コカ製品は今でもあちこちで売られていますが、うっかり日本に持ち込みそうになったら大変なことになります)を入れていた容器。 女性を表しているそうで、曲線が美しいです。

博物館で一番重要なのがこの"いかだ"。
エルドラドの伝説の元になっているのが、16世紀頃までボゴタ近郊のグアタビータという湖でムイスカ族によって行われてたという儀式。
これがその様子を模したもので、ここでは有力な首長が金ぴかになり、いかだで湖の真ん中まで行ったら、そこに金やエメラルドを沈めたそうです。
この話がヨーロッパでは300年もの間”エルドラド伝説”として語り継がれたそうです。
今でもこの湖を訪れることは出来ますが、黄金探査は政府によって禁止されているそうです。
ここが”エメラルド・トレード・センター”。
ちょっと本気モードでいざ!
ビルの中にはいくつもの店舗が並んでいて、どこから手を付けていいのかも分からないので、とりあえず話し掛けてみて石を見てみることに。
何店舗か入ってみると、多くのお店がそこで石を磨いていて、予算やどのくらいの物を探しているのかを伝えると、色々とアイディアを出してくれます。
ムソーの石で、クオリティーの高い、オイル処理もされていないものだと0.3カラット前後で$500くらい。 そのくらいまでになると透明度も輝きもよく、小さな石でも存在感大! ムソーのものは青味が強く、比較のために持って行ってた以前ブラジルで購入したエメラルドと比べると、透明度が高く、そこまで深い緑色と照りが無い感じ。
他店で見たムソーの石は深い緑だけど輝きがそこまでなく、それだと0.7カラットでも$350ほど。
お店では加工品もあるし、ルースでも購入可能。 ルースをアクセサリーに加工するのも相談でき、ブラジルの時と同じく、ほぼ地金代で加工してくれる様子。

いろいろと物色している中、一軒だけ原石の結晶のみを扱うお店を発見。

カットされていた石をいくつも見て、色々と悩んでいたところ、未カットの原石でも色の深い輝きのあるものを発見! 産地はチボールで、お店のおじさんも”これはいい色が出ているよ”とのこと。 思ったよりも価格がお手ごろで、結局原石を購入することに。
現金払いでないと安くならないというところを、カード払いでその値段にしてもらい、英語の堪能な店員さんのいるお店にカード決済へ。
それがここ”Lu Joyas"。
決済を済ませた後にここの店員さんにペンダントに加工をしたいと相談すると、自分の首にかけていた、エメラルドをちりばめたごっつい金のクロスを服から抜き出して、”これは僕の友達が作ったんだけど、彼を紹介するよ。”とのこと。 シルバーで加工したいと伝えると、”いいエメラルドには金色が映えるから、18金でもそこまで高価じゃないから金にした方がいいよ”とのこと。 金でトップを作るとチェーンも金にしないといけないから、結局値段が高くならない?と相談すると、”全部ひっくるめても5グラム程度だろうから大丈夫だと思う”との返事。
電話を掛けると、彼の友人がすぐに来てくれ、加工の相談。 チェーンもそこまでケバケバしくないものを出してくれて、結局18金で加工することに。 金もコロンビア産だそうで、店主曰く”これでコロンビアの一部を持ち帰れるよ”とのこと。 確かにその通り。
店主の太い複雑な形をしたチェーンのネックレスは、チェーンも全て手作りなので、完成までに2週間もかかったんだとか。 チェーンを手作りするなんて聞いたことが無かったけど、黄金博物館を見た後だったのでそんな技術があることも納得!
いつもこうやってルースを買った後に現地の人と加工の相談をするのは楽しく、次の日に出来上がるのを楽しみに店を出ました。

日暮れ前、ボゴタを見下ろす丘”モンセラーテの丘”へ。
麓からはロープウェイで5分ほど。


街との標高差は500メートルなのでこの眺め。
頂上の標高は3160メートルで、富士山で言うと八合目。


空が赤や紫に染まり始めると同時に、街にはオレンジの灯りがともり始めます


さすがに陽が沈むと気温もぐっと下がり10度以下に。


全く加工をしていない写真の景色です。
しばらく百万ドル以上の夜景を楽しんで下山。 休みの初日終了。


休み2日目は再び街の探索。
"Casa del Florero"。 昔はスペイン本国から輸入された高級品を扱うお店だったらしいのですが、今はコロンビアの独立についての展示をしているインディペンデンス博物館。
1840年当時の様子ですが、今とほぼ風景が変わらないです。



取り扱っていた当時の品々。
コロンビアの独立への歴史の展示については英語での説明が全くなくて理解不能。。ウィキペディア先生の説明を読みつつ通過。
スペインのコロニアル様式の建物は中庭が素敵で、通りの喧騒を離れて緑に木々が心地いいです。

次に向かったのが"Casa de Moneda(貨幣ミュージアム)"で、ここは隣のボテロ博物館とも繋がっていて、入場は無料。
手前の建物はコロンビアの貨幣についての歴史の展示。 ここもほぼスペイン語の解説のみ。
その奥からコロンビアのアーティストの作品がコンテンポラリーなものを中心に並んでいます。


ピカソやミロ、その他著名な作家の作品もちらほら。
ボテロ・ミュージアムの入り口には巨大なボテロの手の作品。
コロンビアで一番ポピュラーなアーティストで、街中でもあちこちで彼の作品に触れることが出来ますが、独特な太っちょな感じが微笑ましいです。










アヒアコと呼ばれる名物のスープ。 スープとは言いつつも穀物やチキンがたっぷりで、アボカドを加えて食べるので、これ一杯でお腹はいっぱい。
どこのレストランでもフルーツ・ジュースの種類が豊富で、水で混ぜるかミルクで混ぜるか、砂糖を加えるか加えないかをチョイス出来るのですが、どこへ行っても他の国のようにアルコールやソーダ類を頼んでいる人はほとんどいなくて、老若男女関係なくこのフルーツ・ジュースを頼んでいる人達が多いです。
ランチの後に向かったのはコロニアル・ミュージアム。


ここにはスペインとの交易の様子が展示してあるのですが、建物自体が趣があって素敵です。







観光が一通り終わってから、エメラルド・トレード・センターへ。
ネックレスが完成していました! 写真では石の色と輝きが全く伝わりませんが、とても透明感のある、多面の結晶の煌めきが美しいです。
コロンビアの金とエメラルド。 いいものが出来ました。
あちこちのコーヒー屋を巡っていますが、ここも評価の高いアサハ・カフェ。
どこに行ってもコーヒーはピカイチに美味しいです。
次に向かったのはZonaTと呼ばれる近代的なエリア。
欧米のショップが立ち並んでいて、南米にいることを忘れてしまいそうなエリアで、オシャレなレストランやバーが沢山あります。
さて、ボゴタ一週目の公演も無事に終わり、月曜日のお休み。
この日はもう少しのんびり旧市街を散策することに。
コロンビアは量は少ないもののカカオの生産もされていて、北海道の有名なチョコレートやさんロイズも自社農園を持っているのだそう。 生産量が少ない分、かなり希少なようです。
旧市街で見かけたカカオのお店は2店舗のみで、せっかくなので立ち寄ってみました。
本物のカカオの実を触るのは初めてでしたが、思ったよりずっしり重くて、発酵させた後のカカオの種はすでにほんのりチョコレートの香り。
香り豊かで美味しいホット・チョコレートでした。


街中の壁にペイントがあってかなりカオスなのですが、これはこれで独特なアートになっていて、かなり本格的な作品も。
日本のアニメはボゴタにも。 ここはラーメン店。

先日気になっていて入らなかったレストランへランチに。
今回頼んだジュースは"Feijoa"。Accaとも呼ばれ、日本ではフェイジョアを言う名前なのだそうですが、ちょっと青い果実臭があるもののフレッシュで甘く美味しいかったです。
食事はチキンの煮込みですが、シーズニングが独特でこれまた美味しく頂きました。
コロンビアはまだまだ物価の安い国なので、ちょっとおしゃれなレストランで食事をしても日本のファミレス並み。

これはコロンビアの北の地域で作られる独特なバッグ”モチーラ”と言うものなのですが、カラフルなコットンを使って編んでいるのがWayuu族の人達の編んだもので、この羊の毛、もしくは山羊の毛(こちらの方が丈夫で高価)を使って編んでいるのがArhuaca族の人達。
南米は手間と時間を掛けたクラフトを見付けるには最適な場所ですが、このモチーラも編むだけで40時間も掛かるそうで、女の人のみが家事の隙間を利用して編んでいるので、1つ作るのに編むだけで12日間は掛かるとの事でした。

織り込まれている柄には1つ1つに意味があるそうで、色々と説明をしてくれたものの、理解できたかは微妙。。 かなり頑丈だそうで、10年以上使っても平気だそうです。
前回カテドラルの隣の礼拝堂の方へ入っていなかったので、こちらも見学。





この日はカテドラルではパイプオルガンの演奏をしていて、荘厳な雰囲気が広がっていました。


国会議事堂。

広場の中心に建つ彼がボリバル。
この日は独立記念日の2日後と言うこともあって、街中に国旗が揺れています。

歩いている途中に発見したフレンチ・パティスリー"Mi Rincon Frances"。 狭いながらもノスタルジックな雰囲気が素敵。
街からのモンセラーテの丘の眺め。
仕事が午後からだった日、もう一か所行きたかった国立博物館へ。
ここは南米でも最も古い博物館の1つで、1823年築、1946年までは刑務所として使用されていました。 コロンビアの歴史、美術、文化について展示されています。
入り口入ってすぐにるのが昔コロンビアに落ちてきたという隕石。

"Memory and Nation"というコロンビアがどのような国であるかを展示した部屋。 ネイティブの自然と人達にスペインの文化が混ざっている様子が感じられます。
シモン・ボリバルに関する展示。



彼のクラウンや勲章、馬具など。
ネイティブとスペインとの交流の様子が展示してあるのですが、展示方法がかなり独特で、理解するのが困難。。
1841年の様子。
アフアカの人やモチーラの展示も。

混乱の歴史の展示も。

3階が美術の展示。

もちろんここもボテロの展示が中心。









やはり牢獄。



聖具にも大粒のエメラルドがふんだんに。

紀元前後200年のムソーのエメラルドを使った首飾り。






紀元前700年から紀元後300年あたりの作。

かなり展示がランダムなので、理解するのが大変ですが、入場料も安いのでゆっくり館内を歩き回るにはいい場所でした。 中庭でお茶をしてから仕事へ。

コロンビア最後の週末を迎えていますが、最後まで頑張って帰ります。