Tuesday, February 18, 2020

limoges

トゥールーズで、というか今年に入って初めて二日も休みが入って、中学の頃から一度は訪ねてみたかったフランスの時期の産地”リモージュ”へ!
ヨーロッパ中の移動はFlixBus(フリックス・バス)が各地を網羅していて、しかも格安。大変便利なのですが、トゥールーズからリモージュまでも片道3時間ながら7ユーロほど。
お昼過ぎにはリモージュへ到着!

この街の博物館はどこも火曜日がお休み。 閉館時間までに2つを駆け足で。
まずは絶対に外せない陶磁器博物館”アドリアン・デュブーシェ国立博物館”へ。
1845年に美術館としてスタートして、その後1900年から陶磁器を中心とした博物館となりました。

行われていたエキシビジョンが"Living Forms"。
アートとサイエンス、自然やオーガニックなものをテーマにしてあります。







19世紀末のフランスの作品の数々。


マイセン-1734年
マイセンー1733
大型のアール・デコの作品。




元々は土であったり石であったりするものが、釉薬の艶と造形で色々な雰囲気を創り出します。
二階にはリモージュでの磁器生産のプロセスを展示してあります。
マイセンでの磁器の製造が始まった後、フランス国内でカオリンが発見されたのは、リモージュの近郊の街で1768年のこと。
1771年にはリモージュでも磁器の生産が始まります。 その後フランス政府に買い取られ1784年からは現在に続く”ロイヤル・リモージュ”となります。



こちらには世界各地の陶磁器がコレクションしてあります。
ここに収蔵されている1000点以上を寄贈した、美術館の名前にもなっているアドリアン・デュブーシェ。


最上階がリモージュの磁器生産の歴史。


万国博覧会に出展された作品も並びます。


次に急ぎ足で向かったのは”リモージュ市立博物館”。
18世後半に建てられた司教の館で、1912年から博物館として使用されています。

リモージュの生んだ偉大な画家と言えば”ルノワール”。
ルノワールはこの街の貧しい仕立て屋の息子として1844年に生まれ、3歳の時には家族でパリに引っ越します。 その後入った聖歌隊では声の美しさが評判だったそうで、オペラ座の合唱団への入団も勧められたそうなのですが、両親の意向もあり磁器の絵付け職人の見習いになります。 4年の見習いを終えて18歳になった時には絵付け職人としての道も開けてきたのですが、そんな時には絵付けの機械化が進み、プリント技術が出来たために失業してしまいます。 この時に付けをした作品も残されています。
二十歳になってから画家を目指し、モネやシスレーなどと活動を共にしていきます。
1900年、彼が59歳の時にこの”ジャンの肖像”をリモージュに寄付をしているのですが、これは女の子の様にも見えますが、彼の次男で、この次の年には三男も誕生しています。

その他数点ルノワールの作品を見ることが出来ます。




リモージュは”エマイユ”と呼ばれる七宝焼の生産地でもあって、ここでは12世紀から現代までの作品を見ることが出来ます。

12世紀初めの作品。
13世紀末の聖セバスチャンの像。
16世紀初めのプレート。







16~17世紀の作品。
その他現代のモダンな作品も展示してあります。
その美術館のすぐ横がリモージュ大聖堂。
1273年にその建設が始まって、完成を見たのは1888年のこと。










ヨーロッパの各地で見られるこの貝のマークは”サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路”のサインで、スペインの北西にあるサンティアゴ大聖堂への巡礼の旅の印です。 ここリモージュもその道が通っているので、時々この印を見ることが出来ます。
このサンティアゴ大聖堂、昔書いたブログを紐解いてみてもらえれば分かると思いますが、かなり巨大で圧倒されたことを覚えています。

さて次の日、市内にあるリモージュの窯元巡り。
ここは"Bernardaud"。 工房内の見学もできるのですが、ツアーでのみの参加で、冬季はそんなに頻繁にやっていない為、時間に余裕のない自分はスキップ。 併設のショップだけ寄って来ました。 かなりの格安で売っているのですが、やはりリモージュは金彩の美しさが売りなので、装飾の付いているものはアウトレットでもそれなりのお値段です。
これも手描きとかならいい値段がしていても仕方がないと思うのですが、絵はもちろんプリントだし、あまり人の手が加わっている感じがなく、自分はあまり魅力を感じません。 



と、街中にこのお店を発見!
こうやって並んでいるものはかなり安価に売られていて、その他にも面白いデザインの物や、個性的な作品もいっぱい。
店主が店の奥も開けてくれたら、そこには古い作品も並んでいて、まるで美術館のよう。 勝手に自由に見せてくれたので、しばらく物色。







そこで気に入ったのがこの方の作品。
Patrick Audevardさんという、リモージュ国立芸術大学でも教えてる方の作品。 日本の染付にも共通するような作品の数々で、冷たい感じのするリモージュの煌びやかな作品と違い、とっても個性的でぬくもりがあって素敵。
しかもお安い。。。(なぜ?)

普通に考えても一点数万しててもおかしくないのに、大量生産並みの値段。


数点購入した中の3つ。
染付っぽい感じの中にも金彩が施されていて、リモージュっぽさも加わって秀逸。

ロイヤル・リモージュ。

一番の老舗のロイヤル・リモージュです。 ここにも広いアウトレット・ショップが併設されているのですが、特に購入したいものは無し。。 家でも買って大量にお皿を格安で揃えたいときには、IKEAを買うよりも安くて格が高いかも。
ここでは昔の窯の後を見学することが出来るのですが、この窯かなり巨大で、二階建て構造になっています。











カオリンです。
カオリン採掘の様子。
ここも日本の有田と同様碍子(ガイシ)の生産もしていたようです。









一泊二日の駆け足の旅でしたが、焼き物の世界に浸れた楽しい時間でした。