Saturday, March 30, 2013

mom in NYC

さて、NYでの一週間の休暇を終えてマイアミに戻って来ました。
今回は久し振りに母をアメリカに呼んで一緒に時間を過ごしたのですが、実家に帰ってもこれだけ長い時間を一緒に過ごすことも最近ではないので、今回は過密なスケジュールだったものの、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
と言うことで、今回のブログは”母特集”。

自分のNYに着くフライトが遅れてしまった為、母の方が待っているかたちになってしまったものの、無事合流。 宿に贅沢をしない為に今回はいつも自分の利用するイースト・ハーレムのアパートに母も宿泊。 よく言えばNYの下町の生活感溢れる場所なのですが、普通観光では泊らない様な土地柄なので、母が我慢してくれるかちょっと心配だったものの、案外気に入ってくれたので一安心。

次の日は朝からメトロポリタン博物館のほど近くにある”カフェ・サバルスキー”でゆっくり朝食。
今日のテーマは”小金持ちに成り済ましてホットなNYシーンを垣間見る”。
調度品の全てをオーストリアから取り寄せたオシャレなカフェでの朝食の後はセントラル・パークの散策。 NYはまだまだ冬の気候で、この日も時々雪の舞う寒い天気。
まだまだ春の訪れは遠い様です。
泣く子も黙るマディソン・アヴェニューをウィンドー・ショッピングしながら、バーニーズ・ニューヨークで最近のファッションの流行などをつぶさにチェック。 さすがにプロの縫いこさんな母の眼の付けるところは違っていて、随分と楽しんでもらえたのでは? アルマーニでコーディネートしてもらったり、小金持ちな雰囲気を味わうには最高でした。
その後は5番街へ行って、自分も事あるごとに足を止めるティファニー本店へ。 母のずっと探していたチェーンも購入してティファニー色の紙袋を手にしたらSaks 5th本店へ。 ここでも今年の流行の服をつぶさに観察。 自分はワインで、母はスムージーで一休み。
"Sapporo"でラーメン食べた後はタイムズ・スクエアへ。
さて、今夜はあの名優トム・ハンクスのブロードウェイのデビュー作"Lucky Guy"のプレヴューを観に行って来ました。
これは90年代後半に亡くなったコラムニスト"Mike McAlary"の半生をその友達が語って行くというストーリー。 日本人的にはこのモデルのコラムニストについての基礎知識がないので、過去にあった事件などを振り返るシーンなど、ちょっと共感出来兼ねる場面などもありますが、彼の人生のアップ・ダウンをトム・ハンクスは見事に演じていました。
もちろんお客さんのほぼ全ては彼目当てに来ていると思うのですが、毎ショー毎ショーが一発勝負な舞台でも、やはり名優は名優で、舞台の最後には超満員のお客さんが総立ちでした。
母は英語が分からなくても、トム・ハンクスの演技と、同じ空間と時間を共有出来たことは喜んでくれたのでよかったです。
 
次の日は朝からショッピング!
一気に下まで下って、朝食はWall Streetの小さなカフェで。 もう随分と高層ビル振りを見せているWTCですが、そこを横目に"Century 21"へ。 クリスマス時期ほどではないものの、今日もここは世界中の人達でごった返しています。
母も随分と根を詰めて品探し。 思ったよりも時間を掛けましたが、いくつかよいものは見つかったようです。
そこからチャイナタウンまで歩いて行ってランチ。 自分ご用達のお馴染み"Joe's Shanghai"で小籠包。
そのままSoHoでウィンドー・ショッピング。
そんなこんなで時間が無くなってしまったので、今夜の予定、日本でも随分とカヴァーされた歌手"Neil Sedaka"のコンサートのあるニュージャージーの町まで直行。 地下鉄でマンハッタンの端まで行ってからのバスの場所が分からず、結局タクシーで着いたものの、コンサートのギリギリになってしまいました。
会場は母よりも上の世代でいっぱいでしたが、ニール・セダカ御歳73才。 ヒット曲を連発してくれました。 もともと声の高い人ですが、今でもどう聞いても40代くらいの若々しい歌声でした。
その時代には生まれてなかったものの、結構知ってる曲は多いですね。
つい先日ロサンゼルスのレストランで食事中に、とある人に話しかけられたら、実はその人このビデオの1月のモデルさんだったそう。 おばあさんだったらしい・・・。 ニール曰く”自分は全く変わってないのにね!”。
今夜も楽しい時間が過ごせました!
さて次の日は朝から高い場所へ。 そう、未だにマンハッタンの象徴的な建物”エンパイア・ステイト・ビルディング”へ行って来ました。
自分もここへ上がったのはもう10年以上前。
セキュリティーなどと抜けてエレベーターで86階まで一気に上がると、摩天楼のてっぺん。 マンハッタンの上から下まで見渡すことが出来ます。
以前上がった時には、この先にWTCの高層ビルが2本立っていたのですが、現在はその2代目がそびえ始めているのが見えます。
今回はこのもうひとつ上、102階の展望台まで上がります。
86階は冷たい強風で、景色を楽しむどころではないのですが、102階まで上がるとちゃんとガラスが入っているので、ゆっくりと街を眺めることが出来ます。
丁度下にブライアント・パーク、その向こうには広大なセントラル・パークが見えます。
今日はこの後お昼から、日本でもお馴染み"Celtic Woman"のコンサートへ。
会場はマンハッタンから1時間ほど離れた場所にあるので、ペン・ステーションから電車で小旅行。
小さなカレッジのコンサート・ホールだったのですが、お客さんはいっぱいでした。
ほんのり涙を誘われる響き。 "Amazing Grace"
"Danny Boy"。 アイルランドの厳しい自然の中に沢山の伝承伝説が生まれ、家族の温かさが生まれて、民族の誇りを持って生きる。 アイルランドに行く度に感じるのは、ちょっと武骨で田舎くさいけど、家族、民族の繋がりの強さ、温かさ。 四つ葉のクローバー。
このメロディーに心が温かさに包まれる感じがしますね。
名曲"You Raise Me Up"。
コンサートは大変パワフルで、アイリッシュ独特の郷愁を覚える、心の柔らかな部分に触れるメロディーに、何度もじ~んとなりました。
何度かアイリッシュ・ダンスの軽快なタップやバグパイプ、ドラムなども登場して、アイルランド、ケルティックな雰囲気を満喫できるひと時でした。
再びペン・ステーションに戻ったらもうエンパイア・ステート・ビルも夕日に染まっていました。
今夜はそのままKorean Streetで韓国料理食べて終わり。
夜のグランド・セントラル。
母は中に入ったことがなかったのでちょっと寄り道。
今年100周年を迎えた駅舎は豪華な大理石で、天井には星座が描かれています。 母も言っていた通り、確かにマンハッタンの真ん中にこんな空間が広がっているのは不思議な感じですね。
駅のシンボルの時計。 実はもう動いてないっぽい・・・。
次の日はユニオン・スクエアから出発。
まずはブランチで有名なチョコレート屋さん"Max Brenner"へ。 ここは最近日本でもお店を出しているそうですが、ここの本店は食事も美味しくて、母は今まで食べたことのなかった日本そば入りのサラダの味に大満足。 かなりボリュームがあったのに完食でした。
名物のショコラテはフランスのそれのようにコッテリ。 ポリフェノールたっぷりで体に良さそうだけど・・・ カロリーもすごそう。
美味しい食事の後はすぐ近くの"Kiehl's"へ。
しばらく前から母もキールズ教に入信させていますが。 自分のキールズ・フリーク振りはブログを読んでもらっていたらご存知の通り。 最近は日本にもショップが増えて来ているようですが、昔は自分の極秘プロダクツだったんだけどねぇ・・・。
もともとキールズはこの13th St.と3rd Ave.の角の薬局から始まったのですが、自分がショーのメイクを塗りたくる毎日でも小じわもないのは、全てキールズ様のお陰です。
母もいつまでも若さを保って下され。
そのまま日本人街を横目にNYUを抜けてワシントン・スクエアへ。
まだまだ緑の木々に覆われるのは先のようですが、それでものんびりと公園を楽しむ人達は多く、いつもの通り大道芸の人達もちらほら。 ベンチに座って一呼吸。
そのままWest Villageへ。
ここは様々な文化のミックスした場所で、オシャレなカフェやレストラン、高級なショップから雑貨店もあれば、ジャズ・バーやちょっと卑猥なストリートまで。 まぁ、ごちゃ混ぜで楽しい場所です。
Bleecker St.には、NYを代表する、ルイ・ヴィトンのデザイナーもしているMarc Jacobsのお店が沢山並んでいますが、そこにしかない珍しい商品も沢山あって、滞在の度に一度は足を運ぶ場所です。
しばらくカフェで人間観察。 アメリカにオシャレさんは皆無に等しいですが、NYでもこの辺りのオシャレさん度レベルはかなり高いです。 俗に”NYファッション”なんて言われるものは、この周辺だけですよねぇ・・・。
この日の夜は自分の好きな"The Spotted Pig"へ。 ミシュランの星も獲得しているこのレストランですが、その味もさることながら、ここの雰囲気がとっても良くて、名物のブルー・チーズ入りのバーガーとラベンダーと一緒に揚げたフライはうまうま。
ブラッド・オレンジとお刺身のコンビネーションに感心する母。
 
ここでの食事を楽しんだ後は、NYのホット・スポット”ミートパッキング”を散歩して帰宅。
次の日は朝から雪の冬寒~い天気。
去年のハリケーン被害の為に自由の女神は閉鎖されているので、とりあえずバッテリー・パークまで行ってみたのですが、まぁ寒い寒い・・・。
父の遺影に使った写真をどこで撮ったのか歩き回って探したのですが、結局どこで写したのか判明せず・・・。

母のリクエストで37th St.近辺のFashion Streetで洋裁用の生地などの仕入れへ。 NYはショー・ビジネスも盛んならファッション関係の仕事も多いので、コスチューム・ショップや生地を扱うお店も多く、母にとってはキャンディー・ショップの子供と言ったところ。
そんなお店が沢山並ぶ中でもMood Fashion Fabricsは有名で、広い店内に所狭しと布が並んでいます。  
グランド・セントラルへ向かう途中、まだ母はパブリック・ライブラリーに入ったことがないという事だったので、プラッと中を巡って、つい先日のブログでも紹介したプーさんぬいぐるみも見せてあげました。
自分はこの日の夜は歯医者でインプラントの埋め込み大手術!が待っていたので、夕食が食べられなくなる為に、図書館の正面の43st.(ここは日本のスーパーやパン屋さん、お寿司屋さんなどがあって超便利!)で腹ごしらえ。
母には大冒険をしてもらって一人で地下鉄で帰宅。 自分はグランド・セントラルのすぐ隣のお世話になっている歯医者で大手術・・・。 インプラント2本も埋め込みました。 あぁ・・・皆さん歯はお大事に。。。
歯医者でも頬が腫れるよと言われていたにもかかわらず、痛み止めも麻酔が切れる時一度しか飲まなかったし、夜もスッキリ寝られて快調。 もちろんまだ歯磨きもうがいも禁止。
母のリクエストでもう一度布の仕入れへ。
その後再び43rd St.に寄ってお昼。 そのまま川沿いまで歩いて国連本部ビルへ。 世界190カ国以上が加盟をしているそうですが、自分は今日まで大きな勘違いをしていました。
と言うのも、戦時中日本がやドイツ、イタリアが脱退したのは”国際連盟”であって、現在の“国連”は1945年に設立された“国際連合”だったんですね・・・。 いやぁ、今日に至るまで同じものだと思ってました。
歴代の事務総長の面々。 とは言っても自分の認識があるのはアナンさんとバン・ギムンさんくらい。
ちょっと緒方貞子さんっぽい?!

 今日は早めに宿へ帰って荷物の整理と夜のお出かけの準備。
ちょっとおめかしで母NY最後の夜の晩餐へ。
リンカーン・センターすぐ近くのレストランを予約しておいたので、なかなか日本で普通の生活をしていたらこんな場所に来ることもないと思ったので、今夜はちょっと贅沢にディナー。
ここには以前にも来たことがあったのですが、食事も美味しいし、店内の雰囲気いい感じ。 母もプレートに散らされたキャビアや白トリュフを楽しんでくれたようです。
そんなディナーの後は、メトロポリタンでの母のオペラ・デビュー。
最後の夜に用意したのは名作"La Traviata(椿姫)"。
自分はなぜかこの椿姫には縁がなくて、いつもいつも見たいと思いながら機会に恵まれなかったので、今回はやっとその夢がかなえられました。
そして今年のMETの椿姫はちょっと違う! タクトを振るのは最近ご活躍のYannick。 ヴィオレッタを演じるのは大好きなDiana Damrau。 そして父ジェルモントを演じるのは最後の伝説的大テノールPlacido Domingo! そんなこんな組み合わせは二度とないであろうドリーム・キャスト!
NYに来ることが決まってからすぐチケットを取ったのですが、すでに良い席は売り切れていて、残念ながら上の席しか用意できなかったのですが、会場に行ったら今期全公演売り切れとのこと。 チケット取れただけでもラッキーだった!
第一幕は名場面目白押しですが、ここはアルフレードに愛の告白を受け、純粋な青年の求愛に心をときめかせている高級娼婦である自分の心境をいぶかる場面”あぁ、そは彼の人か ”。 いや、バカなことを言ってはダメ!今の自分の生活かな抜け出して愛に生きるなんかできるわけがない、享楽的な生活を楽しむのよ!と言い聞かせる“花から花へ”。
しかし、彼への恋愛を肯定したい自分と、そんなこと出来るわけないという現実の自分との葛藤が目まぐるしく入れ替わります。 甘い気持ちを打ち消すように飲んでいたシャンパン・グラスを壁に投げつけるシーンは印象的。
ディアナのヴィオレッタは娼婦感が強いと感じたので、ここの心理変化のコントラストも強く出ていて、大変ドラマティックな展開になりました。
息子のアルフレードと家族の為に分かれてくれと懇願する父ジェルモン。
自分の命の短さを知っているヴィオレッタは、せめて自分の最期までこの愛に生きさせて欲しいと頼みますが、ジェルモンの”わたしの家族の為にエンジェルになって慈悲を”という説得に折れ、”清らかなお嬢さんにお伝え下さい、自分が愛の為にどれだけの犠牲を払ったか、自分の最後の心臓の鼓動はあなたのものと”と歌います。
ここからアルフレードにばったり出会うヴィオレッタの別れのシーンまでは涙ものです。 アルフレードに嘘をついてまで、自分が悪者になってまで彼の元を去るという筋書きを実行する勇気と自信がないヴィオレッタ。。。 みんなの立場が交差し、ヴィオレッタが残り短い命であるにもかかわらず、全ての犠牲を払いパリへ舞い戻ります。
ドミンゴとディアナの迫真の演技が続きます。
アルフレードに会えないまま死んでしまうかもしれないという場面、”わたしの死んだ後には何も残らない、最後にはお墓が私を包むだけ、そこには花もなければ涙もない・・・“と絶望感ものぞかせます。
最後、誤解の解けたアルフレードに再会し愛を確かめ合いますが、もう彼女に残された時間は長くありません。 そんな時彼にヴィオレッタは”わたしが死んだ後にはよいお嬢さんを見付けて、私の様な女もいたことを伝えて”と歌って最期の時を迎えます。

最後のシーンは舞台によってアルフレードに再会出来たりできなかったりするそうですが、やはりそれまでのヴィオレッタがあまりに可哀そう過ぎるので、最後には彼と出会ってくれる方が救い。

まだYoutubeにはこれ以上のクリップが無いので、残念ながらこの舞台の興奮を上手に伝えることが出来ないのが残念ですが、METの大変シンプルでモダンな演出も全く違和感がなく、逆に登場人物の心の動きなどが強調されていると感じました。
始まりから終わりまで舞台に引き込まれっぱなしで、観ている側も体力勝負の様な、力の要る舞台でした。
母もバルコニーから乗り出すように最後まで楽しんでくれました。 ちょっと敷居が高いと思われがちなオペラ、ちょっとは身近に感じてもらえたかな?
あぁ、MET万歳! 是非この舞台DVDにして欲しい!!
オペラの帰りにいつも自分が歩くコースを母と一緒に。 NY最後まで満喫してもらえたかな??
この後そのまま深夜のバスで空港へ。 母は一路日本へ。 自分は午後の便でマイアミへ戻って来ました。
以上母とのNYでの一週間でした。
ツアーもプエルトリコの2週間を残すのみ。 あと少しで帰国します!

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