Tuesday, February 11, 2020

albi, lautrec

仕事が終わってからニースを出発、深夜の4時に次の街トゥールーズに到着。
朝にはちゃんと起きてトゥールーズの街を散策していたんですが、昼前には思い立って、当初行ってみようと思っていた、フランスのアイコニックな画家”トゥールーズ・ロートレック”の出身地で世界遺産の街”アルビ”まで足を運んできました。
1時間ほどでアルビの駅に着いて、そこから街に向かって歩いて行って初めに見えたのがこの景色。
レンガはここの特産品だそうで、まるでレンガ色の丘のようです。
アルビが発展するきっかけを作ったのがこの橋”ポン・ヴィユー”で、建設されたのは1040年。 1000年の時を経ているとは思えないほどの堂々とした橋です。

 奥にあるのは1868年に建造された新橋”ポン・ヌフ”。


中世の街並みもそのまま残されています。
 ベルビ宮殿とサント=セシル大聖堂。

さて、ベルビ宮殿は現在ロートレック記念美術館となっていて、彼の作品の多くが展示してあって、彼の人生を追うことが出来ます。

Portrait de Toulouse Lautrec en pied - 1889- Louis Anquetin
 ロートレックはここアルビの名家に生まれて、子供の頃には”小さな宝石”と呼ばれ、みんなから可愛がられていたそうです。 が、弟が亡くなってからは両親の仲が険悪になり、8歳になると母親とパリに出て住むようになります。
彼の両親はいとこ同士だったと言うことで、近親婚による骨粗鬆症などの症状があったそうで、13歳の時と14歳の時に両足の大腿骨を骨折して、それ以上足の成長が止まってしまい、成人した時にも身長は152センチにしか達しなかったそうです。
病気によりアルビに戻った後は思ったような活動も出来ず、父親からは疎まれ(この父親には生涯認めてもらうことはなかったそうで、彼の最後の言葉も”馬鹿な老人め!”だったそうです。)、孤独な青春時代を過ごしたそうです。
32歳の時に描いた自画像。
ズボンのお尻のところに描いてあるマークがロートレックのサインで、日本の文化に影響されたこともあってハンコのようなデザインです。
 29歳の時に描いた自画像。
ロートレックは自分が自由に活動することが出来なかったと言うこともあってか、馬の絵を沢山描いていますが、これは彼が16歳の時の作品。
こちらも彼が16歳の時の作品で、馬の優しいまなざしが印象的。
 多分これは彼の母親かな?? 18歳の時の作品。
自分はこの絵が一番好きだったのですが、17歳の時に描いた"Gazelle"ガゼルと呼ばれた馬の絵。


 Mademoiselle Dihau au piano - 1890
Marcelle - 1894
この辺りになるとロートレックらしさが見えて来ます。
1882年にはパリに戻って、同時代の他のどの芸術家とも同じくモンマルトルを中心に活動するようになり、ゴッホなどとも交流するようになります。
自分自身が身体に障害があった為に差別を受けていたと言うこともあり、娼婦や踊り子など、夜の世界の女の人達に共感するところが多かったようで、ムーラン・ルージュをはじめとしたダンス・ホールや酒場に入り浸って、ムーラン・ルージュのポスターなどもいくつか手掛けています。
 Mademoiselle Lucie Bellanger - 1896
Au Salon de la rue des Moulins - 1894
彼のアトリエにて。
 Le blanchisseur de la "maison" - 1894

この宮殿自体も大変素敵な建物なのですが、どこへ行っても気になるのが当時のタイルの床。
 いい味出てるんだよねぇ。。
Le Divan japonais - 1893
この辺りからリトグラフのポスター作品が並びます。
Moulin-Rouge. (La Goulue) - 1891

原画とリトグラフのポスター。
 Eldorado, Aristide Bruant - 1892
モンマルトルの人気歌手アリスティード・ブリュアン。


 Caudieux - 1893
リトグラフは石版画ですが、これが版。

Les grands concerts de l'opera. Ambroise Thomas assisant a una repetition de Francoise de Rimini - 1896
Cocyte dans "La Belle Helene". Bordeaux - 1900

 ジーン・ケリーの映画”巴里のアメリカ人”でも使われていた
Chocolat dansant - 1896
ロートレックの絵の世界に入り込んだシーン。
Au Cirque : ballet - 1899





Reine de Joie - 1892
Etude pour LLa Revue Blanche - 1895

La Chaine Simpson - 1896
ここで上映されている彼の生涯を描いたドキュメンタリーは大変分かりやすくておススメ。
モンマルトルでの生活でよく描かれる通り、彼もアブサンに溺れ、アルコール中毒、奔放な性生活から梅毒にもかかり、心も体もボロボロになって、家族によってサナトリウムへ、その後母親の邸宅であるマルロメ城で脳出血の為36歳の若さで亡くなります。
死後は彼の事を生涯認めることのなかった父親の意向で、作品は母親の管理の元現在のこのトゥールーズ=ロートレック美術館が設立されます。
アルビに行こうと思うきっかけになった映画”赤い風車”。

街の中心にそびえるのがこの”サント=セシル大聖堂”。
ここに立つとその大きさに圧倒されますが、これは世界最大のレンガ造りの 聖堂なんだそうです。
建設が始まったのが1282年で、完成したのが1480年。 200年もかけてレンガを積み上げたと思うと、その労力には感嘆してしまいます。



入り口から美しいゴシックの装飾に驚きましたが、
中に入ってみてもっとびっくり!!
こんなところにこんなにすごい教会があるとは全く知りませんでした。  美しい絵と装飾で埋め尽くされていて、ただただため息。 これはシーズンではないと言うこともあってか人もいないし、贅沢な空間を独り占め。


18世紀の巨大なオルガン。





 聖歌隊の彫刻の繊細さ。







 いやぁ、すごい大聖堂でした。

トゥールーズを中心に、ここも大きな財をもたらしたのが”パステル”。 この街の窓にもそのパステル色が見られますが、これは大青 (タイセイ)という植物から採れる染料で、青色の布を染めたパステルは全てここで生産されていたそうで、現在にも残る美しい建物の数々はこの時期に建てられたそうです。
その後インディゴがインドからもたらされてからは産業が衰退してしまったそうなのですが、現在はそのパステルを細々と復活させていて、お土産屋さんなどには青に染められたストールなども並んでいます。

ちなみに、どうでもいい話かもしれませんが、このスーパーの棚に並ぶのは日本の生んだカニカマ。 実はカニカマの消費量が一番多いのはフランスなんだとか。

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