Tuesday, November 2, 2010

bath

ロンドンでの週末の6回ショーを終え、深夜過ぎに次の公演先バーミンガムに到着、今朝6時に起きてバスで1泊2日の一人旅へ。 
10年前に初めてイギリスに来た時から、一度はここBath(バース)に来たいと思っていたのですが、数日前にスケジュール的に来れることが分かって、一人でバスに乗ってやって来ました。
この”Bath”、お風呂と同じですが、それもその名の通り、ここにローマ時代から公衆浴場があったことからこの名前が付きました。 俗説ではこの町の名前から英語のお風呂”Bath”と言う単語が生まれたと言われていますが、実際は言葉の方が古く、ここにお風呂があったからその名が付いた方が正しいようです。
ローマ時代には温泉の街として発展して、その後一時期は廃れたものの18世紀になってロンドンの貴族や富裕層の保養地として再開発されたそうです。
市街地全体が世界遺産に登録されている美しい街です。




街の中心にあるのがこのバース大僧院。 なかなか壮麗な僧院です。


そしてその僧院の反対側にあるのが、町の観光のメイン”ローマン・バス”(左側の建物)です。


ここの施設、お風呂だけだと思ってたらかなり大規模な施設で、日本で言う所のスパランド。 英語で言うと”ローマ風呂コンプレックス”と言った感じだそうです。
オーディオ・ガイドで見学していくのですが、展示の紹介方法がかなり画期的で、あちこちにTVモニターがあってガイドと映像を合わせて見ると、昔の様子を目の前で見ている如くに分かりやすく、壁に当時の風景をリアルに映写したり驚きます。


ご存知の通り、イギリスは大半をローマ帝国に侵略されていましたが、紀元前836年にはすでにこの温泉は発見されていて、その後ローマ人がこの温泉を女神ミネルヴァの泉として信仰、紀元60-70年に寺院が建設され、その後300年をかけて温泉総合施設となっていったそうです。
ローマ時代のここの名前は”Aquae Sulis”(女神スリスの水)だったそうです。
この模型で言うと、奥が寺院、一番大きな建物が大浴場(現在は屋根はありませんが)、そのほかがサウナのような床の温まる施設であったり、水風呂であったり、色々な施設が周りにあります。


これが寺院部分の屋根。 中心部にはギリシャ神話の醜い女の魔物ゴルゴンの彫刻。
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当時はこのように鮮やかな彩色がされていたそうで、そんな様子も映写機で再現してあります。 画期的な展示でしょ?


当時の貴婦人の頭部。 ここには色々な階級の人達が集まっていたそうです。


ローマと言えばモザイクですよね。



ここが当時の寺院の前の広場の様子。 ここにもモニターがあって、昔の様子をコンピューターグラフィックで上手に再現してあります。 生贄を捧げた台だの、寺院への階段、温泉への入り口など大変分かりやすく説明してあります。


これが女神ミネルヴァの像。 1727年に発見されたそうで、ローマ時代には寺院の奥にあって、人目には触れなかったそうです。


これは温泉の下水管。 昔からのものだそうです。


ローマにも沢山の浴場跡が残っていますが、ローマ人にとっての浴場は寺院などもある神聖な場所であるとともに、いろんな人の集まる社交の場所だったんですね。
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半円の座る所の付いたお風呂。 なんだか当時の様子が目に浮かびませんか?


一見何か分かりにくいですが、当時はこの積み重ねたレンガの上に床があって、この床下で火を焚いて熱い空気を流していたそうです。 今で言う床暖房ですが、実際は随分熱くなったので、みんなサンダルを履いて歩いていたようですね。 暑くなりすぎたら冷水をまいて蒸気を起こしたそうです。 蒸しサウナですね。


ここはみんな室内だったので、当時は薄暗い所に湯気の立つ神秘的な所だったのでしょう。



ここは水風呂。 壁に男の人の映像が映っています、が結構リアルに当時の様子が分かります。
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ここが源泉の湧きだしている場所です。 ここが女神ミネルヴァの泉なんですね。


泡が立っていますが、これは炭酸ガスが出ているだけで煮えたぎっているわけではありません。


温泉を後に散策です。 


紅葉の美しい季節を迎えました。


ここの建物は、どれも近郊で採れる石灰岩で出来ているらしく、エッグシェル色の壁が大変清楚で美しいです。


クイーンズ・スクエアと呼ばれる、美しい円形の建物のある一角。 360度をぐるりとこの建物が囲っていて、その中心には巨大なポプラの木々。
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360度の写真が撮れないのが残念ですが、この建物がぐるりと一周している様子を想像して下さい。



大変エレガントな設計ですね。


そして、これまた驚く建物がこれ“ロイヤル・クレセント”です。 18世紀に建設された三日月状の集合住宅。 一部はホテルになっているのですが、実際に人も住んでます。 写真ではこの広大さが伝わらないかもしれませんが、この芝生も随分と色いので、実際ここに建って見ると圧巻です。


とにかく広いです。 これまた大変エレガント。


なんとなく大きさが伝わりますか??

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宿からの眺め。 夜8時頃から1時間、ずーっとここの鐘が鳴ってました。
明日も半日ここでのんびりしてからバーミンガムに戻ります。

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