Wednesday, October 23, 2013

national museum of the u.s. air force

以前ここオハイオ州のデイトンに来た際には、初めて有人動力飛行を成功させたライト兄弟について触れたことを覚えていますが、今回はデイトンのダウンタウンからちょっと離れた会場の近くに泊っていて、その近くにはエアフォースの軍事基地があります。
そこに併設されているのがこのアメリカ国立エアフォース博物館。
アメリカの航空博物館で言うとワシントンのスミソニアンが有名ですが、ここはそれの比でない規模での展示がされています。 ハンガーと呼ばれる格納庫4つ分そのままが展示エリアになっていて、一部を除いてその全部が実機! どれもあまりの機体の大きさに圧倒されます。
飛行機に興味のない自分が3時間も必死になって見学してしまったほど、大変興味深い博物館でした。 ちなみに入場料は無料。
まずはライト兄弟の出身地だけあって、初期の飛行機の歴史について。
これが1903年、初めてフライトに成功した機体のレプリカ。 意外に大きいです。
当時は陸軍も数学者も、機械が飛ぶことは科学的に不可能と言っていたそうで、それを可能にした自転車屋さんだった二人の功績は計り知れないですね。 しかし実際のところ、シュミレーションに寄ると、この時機体が飛んだのは、その時の風向きがよかったことと、兄弟の操縦技術のお陰だったところが大きいようですね。
そして飛行機は当時の世界情勢を背景に、危険な方向へ進みます。
飛行を成功させた7年後、1910年には100フィート上空から銃を下に向けました。 世界で初めて飛行機から弾が放たれた瞬間です。 飛行機が凶器へと向かって進みます。
これがその実際のライフル。
そして1912年にはこの機関銃が搭載されました。
1908年、ライト兄弟の弟の操縦するライトフライヤーがでもフライト中に墜落、同乗していたトーマス陸軍中尉が死亡。 彼が世界で初めての飛行機事故の犠牲者となりました。
これがその事故機、ライトフライヤーの一部。
第一次世界大戦へと突入するのですが、これはその当時未だ偵察に使われていた飛行船。
映画“風立ちぬ”でも登場するイタリア人航空機会社創業者ジャンニ・カプローニ伯爵。 飛行機の前に立つ黒い服の人がそれ。 ちなみにスタジオ・ジブリの名前は、このカプロニ社の第二次世界大戦の飛行機“カプロニCa.309(別名Ghibli)"が起こりだそうですね。
MB-2 アメリカで初めてデザインされた爆撃機。 機体の底には随分と大きな爆弾を装備していて、第一次大戦中には物騒な飛行機が出来ていたんですね。
ボーイング社P-26A "Peashooter" これは1933年に全て金属で製造された初めての飛行機。
まるで風の谷にやって来るトルメキア軍の戦艦の様ですが、これも爆撃機。 B18でしょうか。

そしてこれ、三菱重工の本物の零戦! 戦後ニューギニアのジャングルで見付かったとか。 美しいままの機体です。 アメリカには実際に飛行可能な零戦もあるんだとか。 アメリカの巨大な爆撃機に比べて、日本のささやかな機体なこと・・・。 凛々しい姿はピカイチです。
 ここに展示されている機体はどれも戦争を生き抜いてきたものばかりですが、どれも殺人、殺戮の“兵器”。 機体の美しさとその恐ろしさのギャップに大変複雑な思いがします。
 機体の先などに描かれるこれはノーズアートと呼ばれて、敵機に視認性を高める可能性があったものの、搭乗員の士気を高める目的で黙認されていたようです。
第二次大戦に入ると、機体はどんどんと性能を増していきます。
随分と沢山日本に打撃を与えた機体の様ですね・・・。
そしてこれ、広島に原爆を落としたエノラゲイと並び歴史的な一機、長崎へ原爆を投下したB29”ボックスカー”。
実際に1945年8月9日に長崎市上空から原子爆弾“ファットマン”を投下した爆撃機です。

実際に見ると大変大きく長い機体で、70年の時を経ているとは思えないほど美しくシルバーに輝いています。
これが”ファットマン”の複製。
確かにアメリカは実験的目的も含めて、この爆弾とこの飛行機で、なんと沢山の日本人の命を犠牲にしたことでしょう。 しかし考えてみてください。 いつ被害をもたらすかも知れない原発を無数に抱える日本。 広島、長崎、福島の惨状を、沢山の人達の尊い命の犠牲を、将来の自国の日本の為に生かしてほしいものです。
“紫電改”。 日本軍の終戦間際に活躍した戦闘機。 連合軍のコードネーム"Gorge"。
当時世界で一番早かったそうで、現在アメリカに3機、日本には愛媛県の海底で発見された1機が現存しているそうです。 沖縄戦では特攻機の援護もしていたようですね。
と、突然宇宙開発のコーナー。
これはスペースシャトルの船外作業のシュミレーション。 何度やってもミッションを完了できず、シャトルに激突して消滅。。。 宇宙飛行士じゃなくてよかった。。。
格納庫ハンガーはこんな感じ。 これ、スパイラルではなく空を飛ぶ飛行機のつもり・・・。
機体の大きさが伝わらないのが残念。 半端ない大きさです。 ここからは朝鮮戦争とベトナム戦争のエリアに入ります。
朝鮮戦争に使われた機体。 中に入れました。
操縦室も随分と狭いのですが、通信室もこの通り。 大きなアメリカ人、よく作業出来ましたね・・・。
沢山並ぶ爆弾・・・。 弾頭は付いていなくてもやっぱり怖い・・・。
ベトナムの頃の救護機かな。 映画プラトーンに出てきますよね・・・。

どんどんと怖さを増してくる機体。 トップガンな感じですね。
こちらは近代になった機体の数々。
もう宇宙船の様ですよね・・・。
テレビなどでもお馴染みの無人戦闘機。YMQ-9。 2005年にアフガニスタンにも行った機体です。
冷戦時代の展示エリア。
東西の均衡を保つための軍事力とはいえ、一発殴られたから二発殴り返して、二発殴られたから三発殴り返してを繰り返したたら、最後にはお互いぶっ倒れてしまうのにね・・・。 止め処のない軍事力の誇示。
1960年から作られた水素爆弾。 すでに正気の沙汰ではないですね。

冷戦時代には宇宙開発も重要な役割を果たしましたが、これはアポロ15号。
ロケットエンジンの1つ。
 これは実際の戦闘機のコックピット。 ちょっとトム・クルーズな気分。 ちゃんと脱出装置まで付いてる本物。
 20世紀末、ユーゴスラビアにも行っていたF-117A Nighthawk。


 Northrop Grumman B-2 Spirit Stealth
アフガニスタンやイラクへも行った泣く子も黙るステルス戦闘機。 戦闘機なのは分かっているけど、ここまでくるとリアルSF。 これまた実際近くで見ると半端ない大きさ・・・。

 林立するロケットと衛星。 どれが何だか分かんないけど、どれも大きいぃぃ。。。
 上から眺めたステルス戦闘機。
 この眺めでハンガー半分。 ハンガー3つ分見学できるので、結局4時間以上歩き回ってたのかなぁ? 特に飛行機に興味もなかったのに、色々な意味で勉強になりました。
巨大な原子爆弾。 自分達には必要ない。 以上!

2 comments:

Chiaki said...

お久し振りです。
実際に戦闘に使われていた機体、というのが生々しいですね。
「風立ちぬ」は美しい映画でしたが(サナトリウム文学的な側面もあったし)、ジブリ作品としては印象が弱い感じがしました。
宮崎駿監督も飛行機に魅せられ続けた一人なんですよね。

近代兵器と原子力は切っても切れない関係ですが、私が子どもの頃にはクリーンエネルギーとして持てはやされていた記憶もあります。
超小型原子炉を動力とするロボットはSF作品のみならず、子ども向けのアニメでも大活躍でした。
鉄腕アトムやドラえもんが有名ですよね。

現代を生きている私には、現代科学の何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなることが時々あります。
危険なもの、倫理に反するもの、今は発展途上でも将来安全に便利に運用されるかもしれないもの、色々混在していると思います。
1,000年後の人達が証明してくれるかな。

ISAO said...

たしかに、”風立ちぬ”は、自分の理解度が低いからなのか、印象は随分と薄かったですね。 制作には大変な苦労のあった作品の様ですが、作品のテーマの裏側にある、メッセージ性と言うものをあまり感じ取れなかった気がします。
原子力エネルギーに関して言えば、自分にはどうしても明るい未来は見えません。 地震大国の日本。 まるで全身に転移したがん細胞の様に日本全国に散らばる原子力発電所。 すでに福島で発病して大きな部分を切除。
今後どのような方向に進んで行くかは明らかなような気がしますが、ごく一部の人達の利益の為に、そんな倫理も書き消されるのでしょうか。
1000年後までこの地球が平和で安全でありますように。