Wednesday, February 13, 2008

victor horta

ヴィクター・オルタといって誰か分かる人はほとんどいないと思いますが、彼は19世紀末から20世紀初頭にかけてアール・ヌーボーを建築と融合させた人物で、ここブリュッセルには彼の手がけた建築物が数多くあったらしいのですが、現在そのうち4軒が世界遺産に登録されていて、うち3軒は個人の邸宅だったり、オフィスだったりするので普段の見学は出来ませんが、彼の邸宅は博物館として公開されています。

アール・デコと言えばエミール・ガレであったり、建築ではガウディーなどが頭に浮かびますが、実はヨーロッパを旅していると、かなり頻繁にこのスタイルの建造物を目にします。 パリやウィーンでは特に目に付いたように思うし、チェコのプラハの中央駅、スメタナ・ホール、バルセロナのガウディーの建造物の数々は印象に残っています。

オルタの邸宅は、町の中心部から3キロほどのところにあって、散歩ついでに歩いていくにはちょうどいい距離です。途中、王宮付近から高級ショッピング・ストリートが延びていて、ちょっとしたシャンゼリゼな雰囲気です。
avenue louiseを歩いていくと、世界遺産に登録されているソルヴェー邸、タッセル邸も見る事がで来ます。



ソルヴェー邸は1895年から8年間をかけて建築されたそうで、設計の依頼者のアルマン・ソルヴェーが、資金に糸目をつけなかった上に、何の注文をつけなかったので、オルタの想像力を余すところなく発揮できたそうで、彼の最高傑作の1つだそうです。



タッセル邸はごくこじんまりとした建物ですが、アール・ヌーボーと建築を融合させた最初の例ということです。

さて、オルタ邸ですが、他の建物に挟まれたごく普通の裏通りといったところに建っていて、ごくごくその場に馴染んだ建物です。

内部は確かにすごかったです。 外から見たときは”まぁ、中までは入らなくてもいいかな?”程度にしか感じなかったのですが、これがなかなか素晴らしく、家具から建物の細部に至るまで全て彼のデザインで、全てがアール・ヌーボー独特の植物のような曲線を描いています。

木と鉄とガラスがふんだんに使われていて、ドアノブや窓枠、掛け時計なんかも、全て彼のデザインです。 各部屋ごとに置いてある椅子やカウチも全て違うデザインで、どれも完璧な非の打ちどころのない曲線で出来ています。 彼の寝室にあるベッドもサイド・テーブルとの3点セットなのですが、これがまた計算されつくしたいいカーブ。 すぐ隣に備え付けられたトイレには驚いたけど、ここまでこだわって建てた家に住めた彼は幸せだったでしょう。

家の中でもう1つ目に付くのが中国や日本の装飾で、確かにアール・ヌーボーは日本美術の影響を受けたとも言われているだけあって、そんなに違和感はなかったです。 1つ納得がいかなかったとすれば彼の寝室の壁紙かな・・・。 あの内装にチューリップの並んだ壁紙は今ひとつな気がしました。
以前は沢山あったこうした建造物も、どんどん壊されては新しいく建て直されたらしく、このように保存されて後世に伝えられるのは嬉しいことです。

2 comments:

Chiaki said...

建築のことはよくわかりませんが、アール・ヌーヴォーの装飾は好きです。
特徴的な曲線は、優美なだけではなく生命力をも感じさせてくれます。
時代を経ても、美しいものはやはり美しいんですね。

ISAO said...

自分も美術や建築の専門ではないですが、やはり美しいと感じるものは美しいですね。 こうやってヨーロッパの町並みや雑踏の中にいるというだけでも心は満たされます。